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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第151回

「ジェネリック」は安物や偽物という意味?本来の意味と「ジェネリック〇〇」の使い方

「このバッグ、あのブランドのジェネリックだね」。人気の品に似ていて値段の安いものを、こう呼ぶ人が増えました。けれども「ジェネリック」という言葉そのものに、安物や偽物という意味はありません。「ジェネリック」は「一般的な」「(商標名ではなく)一般名の」という意味の言葉です。 安い代わりを指す言い方は、ジェネリック医薬品から生まれた新しい比喩として見ると整理できます。

英語の generic は「一般的な」

英語の generic は、特定の種類や銘柄に限らず、全体に共通することを表す形容詞です。デジタル大辞泉の「ジェネリック」も、まず「一般的であること」と「(商標名ではなく)一般名。総称」を挙げ、そのあとに、新薬の特許が切れた後に作られる同一成分の薬という意味を載せています。

英語では、個性がなくありきたりだという評価を込めて generic と言うこともあります。それでも中心にあるのは「どれにも当てはまる」という意味で、「まがい物」ではありません。

ジェネリック医薬品は同じ有効成分の薬

日本語で「ジェネリック」が身近になったのは、ジェネリック医薬品が広まったからです。正式には後発医薬品と呼ばれ、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の説明では、新薬の特許が切れた後に販売される、新薬と同じ有効成分、同じ効能・効果を持つ医薬品とされています。

呼び名は、商品名ではなく有効成分の一般名(generic name)に由来します。日本ジェネリック製薬協会によると、形や大きさ、色、味などは異なる場合がありますが、有効成分の種類と量は同じです。値段が安いのは、開発にかかる費用と期間が新薬より少ないためです。

「ジェネリックだから効き目が劣る」「ジェネリックは偽の薬」という受け止め方は、医薬品については当たりません。

「ジェネリック〇〇」は手頃な代わりを指す言い方

「人気の薬と同じ成分なのに安い」という印象から、人気の品に似ていて手頃なものを「ジェネリック〇〇」と呼ぶ言い方が広まりました。日経クロストレンドの記事は、1万円以上する香水に近い香りを2000円程度で楽しめる商品を「ジェネリックフレグランス」と呼ぶ例などを、若い世代の価格志向とあわせて紹介しています。

この意味は、デジタル大辞泉にはまだ載っていません。とはいえ、会話や紹介記事で使うことまで誤りとは言えません。読み手が「似ていて、手に取りやすい値段のもの」と受け取ってくれる場面なら、意図は伝わります。

人や作品に付けると格下扱いに聞こえることも

気をつけたいのは、比べられる相手がいる場合です。「あの人はジェネリック〇〇だ」と人に付けると、本物ではない、二番手だという響きが出ます。言った側は雰囲気が似ていると伝えたいだけでも、言われた側は格下に見られたと感じるかもしれません。

お店や作品の紹介でも、「〇〇のジェネリック」と書くと、手頃さより「〇〇の代わり」という印象が先に立ちます。よさを伝えたいなら、「高級ブランドに近い香りを、手頃な価格で楽しめます」のように、似ている点と価格を分けて書くと、紹介したいもの自体の魅力が残ります。

薬の話題では、なお慎重に言葉を選びたいところです。「ジェネリックは安かろう悪かろう」という連想を薬の説明に持ち込むと、事実と違う不安を与えてしまいます。薬について書くときは「後発医薬品」「同じ有効成分の薬」と、言葉の本来の意味に沿って説明できます。

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