間違えやすい日本語 / 第47回
「いづれか」と「いずれか」はどちらが正しい?
今の案内文やメールでは、「いづれか」ではなく「いずれか」と書きます。「次のいづれかをお選びください」なら、「次のいずれかをお選びください」に直せます。
「いづれ」は歴史的仮名遣いです。古い作品で見かける形には理由がありますが、現代の表記で書いている文章に混ぜる必要はありません。
「いずれか」は「ず」で書く
小学館『デジタル大辞泉』の見出しは「いずれ」で、歴史的な仮名遣いとして「いづれ」が示されています。「どれ」「どちら」といった意味のほか、いずれ訪れる将来を指す場合にも、現在の表記は「いずれ」です。
A・B・Cのいずれかをお選びください。
合否いずれの場合も、メールでお知らせします。
いずれ改めてお話ししたいと思います。
「いずれか」だけでなく、「いずれも」「いずれにしても」「いずれにせよ」も「ず」でそろいます。「いづれか」と「いずれか」に、丁寧さや意味の違いがあるわけではありません。
「ずつ」と「づつ」の扱いを当てはめない
「ず」と「づ」には、語によって異なる表記の決まりがあります。文化庁が掲載する「現代仮名遣い」は、一部の語で「づ」を使うことも認めていますが、すべての「ず」を自由に「づ」に替えてよいという規則ではありません。
そのため、「一つづつという書き方もあるから、いづれかでもよい」とは判断できません。現代の文章で迷ったら、語ごとに現在の見出し表記を確認します。「いずれ」の場合は「ず」です。
申込案内では「いずれか」と「いずれも」を区別する
漢字変換前の一字に加えて、続く「か」と「も」で指示の意味も変わります。
「いずれか一つを選ぶ」は、候補から一つを選ぶこと。「いずれも選ぶ」は、候補のすべてを選ぶことです。「本人確認書類はいずれかをご提出ください」と書く場合は、選べる書類の一覧も示すと、何を用意すればよいかが伝わります。
一つだけ必要なら、「次の書類のうち、一つをご提出ください」と書く方法もあります。複数必要な案内なら、「二つを選んでください」などと数を明示します。
古い作品の文章を引用するときは、引用元の「いづれ」を保つ場合があります。引用の外にある自分の説明文は「いずれ」で書けば、原文の表記と現在の文章を区別できます。