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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第49回

「各店舗ごとに」「約10分ほど」は重複表現?直す場合と残す場合

「各店舗ごとに」は「各店舗で」か「店舗ごとに」、「約10分ほど」は「約10分」か「10分ほど」にできます。案内や報告では、同じ意味を重ねる必要がなければ一方を省くとすっきりします。

ただし、意味の重なりがある表現をすべて誤りと決めることはできません。話し言葉や、強調するために使う場合もあります。直すかどうかは、その文章の目的と、削った後も意味が保たれるかで判断します。

「各店舗ごとに」は「各」と「ごと」が重なる

「各店舗」は、それぞれの店舗を指します。「店舗ごとに」も、店舗を一つずつ分けて述べる言い方です。

各店舗ごとに営業時間が異なります。
→ 店舗ごとに営業時間が異なります。

各店舗ごとに在庫を確認してください。
→ 店舗ごとに在庫を確認してください。

後者を「各店舗で在庫を確認してください」とすると、各店で作業を行う意味になります。本部から店ごとの在庫を調べる場合もあるので、重複を省く際に、作業する場所まで変えないようにします。

文化審議会の「公用文作成の考え方」にも、「各都道府県ごとに」などを整理する例が載っています。同じ資料は、慣用や強調による重複もあるため、一概に誤りとは言えないものがあると説明しています。

「約10分ほど」は目安を二度示している

「約」も、この場合の「ほど」も、ぴったり10分とは限らない目安を表します。「10分ほどお待ちください」で、おおよその待ち時間だと伝わります。

同資料には「約20名くらい」を「約20名」または「20名くらい」にする例もあります。「約10分ほど」も同じように整理できます。

丁寧に伝えたいからといって、目安の表現を増やす必要はありません。「10分ほどお時間をいただけますか」なら、依頼の形で相手への配慮を表せます。

同じ文にあっても別の内容なら削らない

「各店舗で週ごとに在庫を確認します」では、「各」は店舗、「ごと」は週にかかっています。それぞれ別の区分なので、片方を削ると情報が失われます。

「約10分の動画を三本ほど見ました」も、「約」は長さ、「ほど」は本数を示しています。二つがあるという理由だけで直す文ではありません。

会話の引用で話し方を残したい場合は、元の「約10分ほど」を保つこともあります。新しく作る案内なら簡潔な形を選び、引用なら原文をどう扱うかの方針に従う。「重複」という印だけで一律に削らず、何の意味が重なっているかまで確かめます。

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