間違えやすい日本語 / 第50回
「やらなそう」と「やらなさそう」はどちら?「なさそう」で迷う形
自分で改まった文章を書くなら、「やらなそう」を選べます。動詞「やる」を否定する場合の伝統的な形です。一方、「やらなさそう」も実際には広く使われており、必ず誤りとして直すべきだとまでは言えません。
「問題なさそう」「寒くなさそう」では「さ」を入れます。「なさそう」を見つけたら、余分な一字として全部削ればよいわけではありません。
「やらなそう」と「問題なさそう」は違う
「やらない」「行かない」のように動作を否定する場合、伝統的には「やらなそう」「行かなそう」とします。
一方、「問題がない」「予定がない」のように何かが存在しない場合は、「問題がなさそう」「予定がなさそう」です。また、「寒くない」は「寒くなさそう」となります。
| 元の表現 | 伝統的な形を目安にした書き方 |
|---|---|
| やらない | 今日はやらなそうだ。 |
| 行かない | 本人は行かなそうだ。 |
| 問題がない | この方法なら問題がなさそうだ。 |
| 寒くない | 会場の中は寒くなさそうだ。 |
「ない」の前がどれも似た形に見えるため、迷いやすいところです。表にある「さ」を省く形と入れる形を、まとめてどちらかにそろえることはできません。
「やらなさそう」を選ぶ人も多い
NHK放送文化研究所の「日本語のゆれに関する調査」報告は、「やらなそう」と「やらなさそう」などを調べています。「さ」を入れる形と入れない形が併存していることや、地域による違いを扱っています。
この報告は、前の調査についても、提示した文では「やらなさそう」を選ぶ回答が多数だったと紹介しています。
ただし、よく使われることと、原稿の用語基準としてどちらを採用するかは別です。掲載先の基準がある原稿はそれに合わせ、指定がなければ伝統的な「やらなそう」を選ぶ方法があります。相手の会話を直す必要まで、そこから導かれるわけではありません。
報告文では見込みなのか確認済みなのかも分ける
「担当者は対応しなそうです」は、対応しないだろうという見込みです。実際に本人へ確認したのなら、「担当者から、今回は対応しないと回答がありました」と書くほうが正確です。
反対に、様子から判断しているだけなら、確認済みの事実に書き換えることはできません。「なそう」と「なさそう」の形を整える際も、元の文が推測だったことは残しておきます。