間違えやすい日本語 / 第45回
「にも関わらず」と「にもかかわらず」はどちらを選ぶ?
「雨だったにもかかわらず、多くの人が来場した」のように、予想に反する結果をつなぐ場合は、「にもかかわらず」とひらがなで書くのが選びやすい表記です。ただし、「にも関わらず」を見つけたら、必ず誤字として直すべきだとまでは言えません。
自分で案内や報告を書くときはひらがなにし、すでにある文章を直すときは媒体の用字基準も確認する。この二つを分ければ、必要以上に正誤で迷わずに済みます。
「にもかかわらず」は予想と違う結果をつなぐ
「十分に準備したにもかかわらず、当日は手間取った」では、準備をしたなら順調に進むはずだという予想に、実際の結果が反しています。
『精選版 日本国語大辞典』も、予想される結果と反する事柄を導く表現として説明しています。単に二つの出来事を並べる言葉ではありません。
予約したにもかかわらず、席が用意されていなかった。
予約したので、席が用意されていた。
後者のように順当な結果なら、「にもかかわらず」ではつながりが不自然になります。漢字より先に、前後の内容がどう関係しているかを見る必要があります。
「関わらず」はすべて誤字なのか
毎日新聞校閲センターの解説は、逆接の「にもかかわらず」をひらがなで書く新聞の基準を紹介しています。その一方で、「にも関わらず」を全くの誤字とは言えないとし、以前からの使用例にも触れています。
したがって、「関わるは関係する意味だから、この漢字は絶対に使えない」と言い切ると、実際の用法を取りこぼします。「拘わらず」という表記もありますが、普段の案内で難しい漢字を選ぶ必要はありません。「にもかかわらず」なら、逆接の働きも読み取りやすくなります。
「企画に関わる」「年齢にかかわらず」との違い
「企画に関わる」は、企画に関係したり参加したりする意味なので、「関」を使えます。
「年齢にかかわらず参加できます」は、年齢を条件にしないという意味です。「年齢に関わらず」と書くこともあります。ここでは、予想に反した結果を述べているわけではありません。
募集案内なら「年齢を問わず参加できます」、お礼なら「雨の中、お越しいただきありがとうございました」と言い換えることもできます。ひらがなに直すだけでよい文と、表現を替えると場面に合う文は、それぞれあります。