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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第44回

「経験を生かす」と「経験を活かす」はどちらが正しい?

「経験を生かす」「経験を活かす」は、どちらも経験を役立てる意味で使われます。表記の基準に迷うなら、「経験を生かす」と書けば問題ありません。「生かす」は命を保つ意味にしか使えない、ということはありません。

「接客の経験を生かして案内を改善しました」「地域の歴史を生かした催し」のように、能力、経験、特色などを役立てる場面にも使えます。

「生かす」にも活用する意味がある

小学館『デジタル大辞泉』は「生かす/活かす」を同じ見出しに掲げ、命を長らえさせる意味のほか、有効に使う意味を説明しています。経験や素材を役立てる用例もあります。

「活用」と結び付けて「活かす」を選びたくなることはあるでしょう。ただし、「生かす」では能力を十分に発揮した意味にならない、という区別はありません。「過去の経験を生かす」を「活かす」に直さなければならない理由もありません。

常用漢字に沿う文書では「生かす」

「活」は常用漢字ですが、「いかす」という読みは常用漢字表に載っていません。文化審議会の「公用文作成の考え方」にも、「活かす」を「生かす」に置き換える例や、振り仮名を付ける例が示されています。

公用文の基準に沿って書く場合は、「生かす」が選びやすい表記です。企業や団体の原稿でも、常用漢字表に沿う規定があれば、それに合わせます。

このことは、一般の文章で「活かす」を使うことを一律に禁止するものではありません。サイトや冊子が「活かす」で統一されているなら、既存の方針に合わせる判断もあります。他人の文章を校正するときも、基準を確認せずに「活かす」を誤字として扱わないようにします。

履歴書では何にどう生かすかまで書く

「経験を生かしたいです」は表記として正しくても、どの経験を何に使うのかが伝わりにくい文です。

前職での経験を生かしたいです。
→ 店舗で問い合わせ対応を担当した経験を、利用者向けの案内作成に生かしたいと考えています。

後者では、経験と担当したいことのつながりが分かります。実績を述べるなら、「問い合わせの記録をもとに、初めて利用する人向けの案内を作りました」のように、行ったことを具体的に書けます。

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