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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第34回

「雪辱を晴らす」は正しい?「雪辱を果たす」「屈辱を晴らす」

前に負けた相手に勝ったことを書くなら、「雪辱を晴らす」ではなく「雪辱を果たす」が標準的です。「雪辱」自体に、受けた恥をすすぐという意味が含まれています。「晴らす」を使いたい場合は、「屈辱を晴らす」と書けます。

「昨年の雪辱を晴らした」を直すなら、「昨年の雪辱を果たした」。もう少し具体的に「昨年敗れた相手に勝ち、雪辱を果たした」とすれば、何を取り返したのかも伝わります。

「雪辱」は悔しい出来事そのものではない

「雪辱」を、負けた悔しさや屈辱の意味だと捉えると、「晴らす」が自然に続くように感じられます。けれど、雪辱は悔しい出来事を指す語ではなく、それをすすぐことを表します。

小学館『デジタル大辞泉』でも、恥をすすぐこと、特に以前負けた相手を破って名誉を回復することとして説明されています。日本漢字能力検定協会の解説も、使い方を「雪辱を果たす」としています。

そのため、「決勝で敗れて雪辱を味わった」も意味が合いません。負けた時点なら「悔しさを味わった」「屈辱を味わった」。取り返すことを決意したなら「雪辱を誓った」です。

再戦の前と後で選ぶ表現

まだ再戦していないのに「雪辱を果たした」とは書けません。試合の案内と結果の報告では、続ける動詞が変わります。

場面例文
再戦を前に決意を示す前回敗れた相手への雪辱を誓った。
勝って結果を報告する準決勝で雪辱を果たし、決勝進出を決めた。
取り返せなかったことを伝える再び敗れ、雪辱はならなかった。

「雪辱する」も使えます。「春に敗れた相手に雪辱した」とすれば、「果たす」を添えなくても文は成立します。

なお、スポーツの記事で使われる表現だからといって、負けたことを必ず「恥」や「屈辱」と呼ぶ必要はありません。活動報告なら「前回敗れた相手に勝利した」と、結果だけを伝える書き方もできます。選手本人の強い思いを伝える記事と、団体の試合記録では、選びたい言葉が違います。

「晴らす」を残したいなら、「決勝で前回の屈辱を晴らした」。「雪辱」を使うなら、「決勝で前回の雪辱を果たした」と書けます。

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