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LINTO日本語の校正と推敲

読めそうで読めない漢字 / 第44回

「齟齬」は何と読む?「認識の齟齬」を食い違いで終わらせない

「認識に齟齬がある」の「齟齬」は「そご」と読みます。互いの理解や話がうまくかみ合わず、食い違っていることです。難しい字が二つ並んでいますが、どちらにも「歯」が入っています。この字形は、意味を覚える手がかりになります。

「齟齬」は歯がかみ合わないことから

「齟齬」は、もともと上下の歯が食い違ってかみ合わないことを表した語です。それが、人の意見や計画などがうまくかみ合わないことにも使われるようになりました。噛み合わせの悪さを、意思疎通の食い違いに重ねた表現です。

「齟齬がある」は、二つの内容が一致せず、うまくつながっていないという意味です。 たとえば「金曜日までに送る」を、一方は発送、もう一方は到着と理解していたとします。同じ日付の話をしていても、前提が違うため、そこに認識の齟齬があります。

「そごがしょうじる」「そごをきたす」「そごをなくす」という形で使えます。「齟齬を来す」の「来す」は、ある状態を生じさせるという意味です。普段の連絡なら「食い違いが生じる」と書いても、十分に伝わります。

「相違」や「矛盾」とはどう違う?

「相違」は、二つのものが違うことです。「二人の好みには相違がある」は、それぞれの好みが異なるというだけで、連絡の行き違いがあるとは限りません。「齟齬」は、その違いによって物事がかみ合っていないところまで感じさせます。

「矛盾」は、二つの内容が同時には成り立たないような場合に使います。「誰も入っていない」と「一人で中にいた」が同じ時間について述べられていれば、説明に矛盾があります。「齟齬」はもう少し広く、理解のずれや実施内容との不一致にも使えます。

たとえば「パンフレットと申込画面で集合場所に齟齬があった」なら、二つの案内が食い違っています。「二人の服の色に齟齬がある」では、合わせる約束でもない限り、単なる違いに大げさな語を当てた印象になります。何と何が合うはずだったのかを示すことが大切です。

確認の文では食い違いの中身を書く

「齟齬がないかご確認ください」は、認識を合わせる依頼として使えます。ただし、この一文だけでは、相手はどこを確認すればよいのか分かりません。

「集合時刻は午前9時、場所は北口と認識しています。齟齬があればお知らせください」なら、確認する対象が明確です。より会話に近い調子なら、「集合は午前9時に北口でよいでしょうか」と尋ねても同じ目的を果たせます。齟齬という語を使うかどうかより、認識を文字にすることが有効です。

別の場面では、「完成品の色について、打ち合わせ時の認識と齟齬がありました。見本は薄い青を想定していました」と書けます。食い違いがあったと報告するだけで終わらず、どちらがどんな内容を想定していたのかを続けると、修正の相談に進みやすくなります。

「齟齬があった」で責任まで曖昧にしない

「認識の齟齬」は、どちらが悪いと決めつけずに食い違いを話題にできる言い方です。相手をいきなり「誤解している」と責めるより、事実を確認しやすい場面もあります。

ただし、自分が日付を誤って案内したことが分かっているのに、「双方の認識に齟齬がありました」と書くと、相手にも落ち度があったように見えます。その場合は「案内の日付に誤りがありました」と具体的に認めるほうが正確です。

「説明と実際の内容に齟齬がないよう、公開前に照合する」のように、事前の確認を表す使い方もできます。歯の噛み合わせと同じく、比較する二つの内容があってこその言葉です。「何と何が、どこで食い違ったのか」を書けば、難しい二文字だけに説明を任せずに済みます。

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