正しい敬語 / 第27回
「とんでもございません」は正しい敬語?褒められたときの返し方
上司に褒められて「とんでもございません」と返しても、誤った敬語を使ったことにはなりません。文化庁の「敬語の指針」47ページでも、褒められた内容を謙遜して打ち消す場面では、現在は問題のない表現とされています。
「とんでもございません」は、褒め言葉に控えめに応じる返事として使えます。
なぜ「間違い」と言われることがある?
「とんでもない」を一つの形容詞と捉えると、「ない」だけを「ございません」に取り替えるのはおかしい、という説明があります。そこから「とんでもないことでございます」に直すべきだと言われることがあります。
しかし、実際の返答では同じ働きをするとは限りません。褒めてもらった直後の「とんでもないことでございます」は、相手が褒めたこと自体を否定しているようにも聞こえます。「敬語の指針」も、この点に注意を促しています。
「説明が分かりやすかったです」と言われたとき、慌てて長い言い方に直す必要はありません。「とんでもございません。お役に立てたのでしたら何よりです」と返せば、謙遜しつつ相手の感想を受け止められます。
「ありがとうございます」と受け取ってもよい
褒められるたびに「そんなことはありません」と否定する必要もありません。「ありがとうございます。そう言っていただけてうれしいです」と答えても、相手を見下す表現にはなりません。
共同で仕上げた仕事なら、「ありがとうございます。資料の確認を皆さんに手伝っていただきました」と、協力への感謝を続ける方法もあります。自分の仕事を否定せず、ほかの人の力にも触れられます。
一方、「全然大したことはしていません」と強く打ち消すと、一緒に取り組んだ人の仕事まで軽く聞こえる場合があります。控えめに返したい気持ちと、実際にした仕事の説明は分けてよいのです。
褒め言葉と一緒に依頼されたときの返し方
「前回の説明が分かりやすかったので、次回もお願いできますか」と言われたら、謙遜だけで返事を終えず、依頼にも答えます。「ありがとうございます。次回も担当いたします」なら、感想を受け取るとともに、引き受けることが伝わります。
予定が分からない段階なら、「ありがとうございます。次回の日程を確認してからお返事します」と返せます。「とんでもございません」と言うかどうかに気を取られず、相手が返答を待っている用件にも目を向けます。