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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第27回

「足元をすくわれる」は間違い?「足をすくわれる」と迷う表現

これから案内や記事を書くなら、「足をすくわれる」を選ぶと、標準的な慣用句の形に沿います。 「足元をすくわれる」は本来の形ではないとされますが、その形を載せる言語資料もあるため、見掛けるたびに単純な誤字と決め付けるのは慎重でありたいところです。

相手を軽く見ていた優勝候補が、初戦で足をすくわれた。

油断したところを突かれ、思いがけない失敗や敗北に至る。この意味で使う表現です。

辞書の慣用句は「足をすくう」

デジタル大辞泉の「足を掬う」は、相手の隙を突いて失敗させることと説明しています。補説でも、「足をすくわれる」を本来の言い方、「足下をすくわれる」を本来の言い方ではないものとして扱っています。

「すくう」を漢字にすると「掬う」です。ただ、日常の文章では「足をすくわれる」とひらがなで書けばよく、難しい漢字にする必要はありません。「足を救われる」では、助けられるような別の意味になってしまいます。

「足元」の形は、「足元」という言葉そのものがおかしいのではありません。「足元に注意する」「足元を見る」などでは、当然使われます。今回の問題は「すくわれる」と結び付く慣用句の形です。

「足元」の形を一律に誤字としない理由

国立国語研究所が公開するIPAL基本名詞辞書の「あし」には、慣用表現として「足(もと)をすくわれる」が挙がっています。「足元」を含む言い方が、資料に一切ないわけではありません。

この収録だけで、どの掲載先でも「足元」を推奨しているとは言えません。それでも、「日本語にない形」と断じるのとは違います。公表する文章を整えるときは「足」にそろえられますが、会話や引用を見つけるたびに話し手の誤りとして扱う必要まではありません。

「足を引っ張られる」とは何が違う?

「足をすくわれる」は、隙を突かれて不意の失敗をすることに重点があります。「足を引っ張られる」は、物事を進めるのを邪魔される場面に使います。

何度も連絡を無視されて作業が進まないことと、油断した一瞬を突かれて敗れることでは、出来事が違います。後者なら「足をすくわれた」が合いますが、単に邪魔をされたというだけなら別の表現の方が近いでしょう。

「油断すると足をすくわれる」と「周囲に足を引っ張られる」。字を直すだけでなく、自分の文がどちらの出来事を述べているかで、使う慣用句も変わります。

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