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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第25回

「あわや優勝」は使える?良い結果と悪い結果で変わる表現

優勝まであと少しだったことをほめたいなら、「あわや優勝」は避け、「あと一歩で優勝」「優勝目前まで迫った」と書くのが適切です。「あわや」は、危険や望ましくない事態が起こりそうな場面に使います。

惜しい結果を伝える「もう少しで」と同じつもりで使うと、優勝してしまうと困るような意味になります。

「あわや敗退」には使えて「優勝」では迷う理由

終盤に追い付かれ、あわや敗退というところまで追い込まれた。

応援しているチームの危機を伝えるなら、この「あわや」は使えます。

デジタル大辞泉の「あわや」は、危険などが身に及ぶ寸前の様子を示す語と説明し、補説でも幸運な出来事には使わないとしています。

対して、決勝で健闘したチームについて「初出場であわや優勝」と書くと、初出場で優勝することが危機だったかのようです。伝えたいのが健闘なら、「初出場ながら優勝まであと一歩だった」とすれば、惜しさをそのまま表せます。

相手にとっての良い結果なら「あわや」は使える?

よい結果か悪い結果かは、誰の立場から見るかでも変わります。例えば、自分のチームが守っている場面の「相手の打球はあわや本塁打だった」は、失点の危機として読めます。打った選手にとっては好結果でも、守る側には避けたい結果だからです。

ただし、何の説明もなく「新人があわや優勝」とすると、どの立場から危険だと見ているのかが分かりません。立場を補えば理屈の上で通る場合があることと、読みやすい記事になることは別です。

勝敗を公平に伝える結果報告なら、「新人が優勝争いに加わった」「最終盤まで首位に迫った」の方が、余計な評価を加えずに済みます。

「あと一歩」「寸前」「目前」の選び方

実際には届かなかった結果を振り返るなら、「あと一歩で優勝だった」が使えます。まだ試合が終わっていない時点なら、「優勝目前」「あと一勝で優勝」と書けます。

「あと一勝」は必要な勝利数が分かっている場合に使う具体的な説明です。「目前」と書けるほど近かったかが曖昧なら、順位や得点差を示す方法もあります。

同じ「もう少し」でも、届かなかった悔しさと、危険を避けた安堵では選ぶ言葉が違います。「あわや転落するところだった」には危機があり、「あと一歩で入賞だった」には惜しさがあります。記事で伝えたいのが後者なら、「あわや」を足して勢いを付ける必要はありません。

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