正しい敬語 / 第24回
「大丈夫です」「結構です」で断ったつもりが伝わらないとき
「袋はお付けしますか」と聞かれて「大丈夫です」と答える。本人は断ったつもりでも、店員が袋を用意し始めることがあります。「付けてもらって大丈夫」とも「なくても大丈夫」とも取れる返事だからです。
承諾と辞退の両方に取れるときは、「お願いします」「不要です」など、するかしないかが分かる言葉を添えます。
「結構です」にも肯定と辞退の意味がある
「この日程で結構です」なら、その日程を受け入れる返事です。一方、追加の飲み物を勧められたときの「もう結構です」は、これ以上は要らないという返事になります。
小学館『デジタル大辞泉』の「結構」にも、満足できるという意味と、それ以上は必要ないという意味が載っています。どちらか一方だけが正しいわけではありません。
対面では、首を振ったり、物を手元に引いたりする動きも手掛かりになります。しかしメールや電話では、その手掛かりが減ります。相手が聞き直したときも、敬語を知らないからとは限りません。
返事に足すなら必要かどうかの一言
| 場面 | 受け入れる返事 | 断る返事 |
|---|---|---|
| 資料の印刷を勧められた | 1部お願いします | 画面で確認できるので、印刷は不要です |
| 候補日を示された | その日程でお願いします | その日は都合がつきません |
| 追加の説明を提案された | 続きもご説明いただけますか | 必要な点は確認できましたので、追加の説明は不要です |
このように内容が明確なら、「大丈夫です」を無理に避ける必要はありません。「資料は受け取っていますので、大丈夫です。ありがとうございます」なら、送付が不要だと読み取れます。
反対に、「その件は結構です」だけだと、提案に賛成したのか、話を終わらせたのかが残ります。「その案で進めてください」「今回は依頼を見送ります」と、対象に合う動詞で答えるほうが確実です。
「不要です」の前後にお礼を添えてもよい
断る内容をはっきり書くと冷たく感じられそうなら、「お気遣いありがとうございます。資料は手元にありますので、再送は不要です」と、お礼を添えられます。断りをぼかさず、相手の配慮も受け取れる言い方です。
ただし、繰り返し勧誘されている場合などは「申し込みません」「今後のご案内は不要です」と明確に断って構いません。あらゆる断りを遠回しにする必要はありません。承諾したと受け取られて困る場面ほど、結論を省かずに伝えます。