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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第90回

「独断」と「独善」はどう違う?一人で決めれば独善になる?

「一人で決めたのだから独善的だ」という言い方には、少し飛躍があります。「独断」は一人で決めることや、思い込みによる判断。「独善」は、自分だけが正しいと考えることです。 決定に関わった人数と、ほかの人の考えをどう扱ったかは、分けて確かめる必要があります。

「独断」は決め方を問題にする場合がある

「担当者が独断で日程を変更した」。関係者に相談したり必要な承認を得たりせず、その人だけで決めたと読める文です。変更後の日程が便利だったとしても、決め方への不満は残るかもしれません。

一方、あらかじめ判断を任されていた人が一人で決定することもあります。その事実を伝えるだけなら、「担当者の判断で変更した」「責任者が決定した」と書けます。「独断」には独り決めの印象があるため、必要な権限を持っていたことまで隠れやすくなるからです。

「独断で決めてよい」と言うより、「この範囲は相談せずに決めて構いません」と伝える方が、任せる範囲は明確です。一人で決めること自体が、いつも手続き違反になるわけではありません。

思い込みに偏った判断も「独断」

「独断と偏見によるおすすめ」という表現を見かけます。この「独断」は、誰とも相談していないということだけでなく、個人的な考えや好みによって判断していることを表しています。

親しい人に好きな映画を紹介する文章なら、「個人の好みで選びました」と軽く断る意図で使えます。しかし、事実の説明まで正確でなくてよいという意味にはなりません。上映時間や出演者を誤って書いても、「独断と偏見」と付ければ許されるわけではありません。

評価の基準を示したいなら、「静かな会話劇が好きな人向けに選びました」と書く方法もあります。主観的な選び方であることと、何を基準にしたかの両方を伝えられます。

「独善」は周囲の考えを認めない態度

「自分たちの方法だけが正しく、ほかの方法には価値がないと決めつける」。このような態度を批判するときに「独善的」が使われます。相談の場を設けていても、最初から他人の意見を聞くつもりがなければ、独善的と評されることはあります。

反対に、一人で考えて書いた意見でも、異なる条件や反論を踏まえていれば、そのことだけで独善とは言えません。独立して考えることと、他人を顧みないことは別です。

「独善的な説明だった」と書く場合には、どこが一方的だったのかを示したいところです。「自分たちの都合だけを述べ、利用者への影響には触れていなかった」なら、読み手が評価の理由を理解できます。

「独断専行」は相談を欠いた実行まで含む

「独断専行」は、自分だけの判断で勝手に行うという意味で使われます。「独断で決めた」から、実際に行動を進めたところまで表す言い方です。日程を変更する案を頭の中で考えただけの人に、同じ強さで使うと出来事が大きく見えます。

報告では、「相談せずに変更を告知した」「承認前に申し込みを進めた」など、起きた行動を書くと正確です。「独善的な担当者が独断専行した」と評価を重ねるより、後から確認できる内容が増えます。

本人へ改善を求める場合も、「独善的にならないで」と性格を問題にするより、「変更を告知する前に、会場担当にも確認してください」と頼めます。直してほしい行動が具体的だからです。

強く非難する必要がある場面を避けるということではありません。「独断」と「独善」は、どちらも相手の判断を低く評価する使い方がある語です。手続きへの異議なのか、ほかの意見を認めない姿勢への批判なのかを分けると、反対している理由を取り違えられずに済みます。

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