間違えやすい日本語 / 第39回
「動画制作」と「動画製作」はどちらが正しい?
撮影や編集によって動画を作ることを伝えるなら、「動画制作」と書けます。ただし、「動画製作」は誤字ではありません。映像分野では、企画や資金面を含めた事業全体について「製作」を使うこともあります。
「作品だから制作、物だから製作」とだけ覚えると、映画やテレビ番組で「製作」が使われる理由を説明できません。依頼文や実績紹介では、自分がどの作業を指しているのかから考えると選びやすくなります。
撮影・編集を頼むなら「動画制作」で伝わる
たとえば「店舗紹介の動画制作を依頼したい」「採用動画の制作実績」といった表記です。映像を実際に形にする作業を指すなら、自然に使えます。
店舗紹介動画の制作を依頼します。構成案の作成、撮影、編集、字幕入れまでをお願いします。
「制作」と書くだけでは、どこまで頼むかは決まりません。撮影済みの素材を渡す場合は「動画編集を依頼します」、撮影だけを頼むなら「インタビュー撮影を依頼します」と書いたほうが、範囲を正確に伝えられます。
映像分野で「製作」が使われる場合
全日本テレビ番組製作社連盟の資料は、演出や撮影などの創作的な行為を「制作」として説明する一方、「製作」は企画・制作・完成までの経済的な責任を含む行為として説明しています。また、「製作」を出資だけに限る捉え方にも注意を促しています。
このように、映像の世界では二つの表記を役割の違いに結び付ける使い方があります。映画の「製作委員会」を、芸術作品だからという理由で「制作委員会」に直すのは適切ではありません。
一方、この区別を、あらゆる動画や団体が同じように採用しているとは限りません。クレジットや会社名を載せる場合は、先方の正式な表記を確認します。漢字だけを見て、実際の担当や権利関係まで決め付けることもできません。
実績紹介では担当した作業を添える
「紹介動画を製作しました」という一文だけでは、出資や企画を担ったのか、撮影・編集をしたのかが分かりません。自分の担当を伝えたいなら、次のように書けます。
紹介動画の構成と編集を担当しました。撮影は別のチームが行いました。
企画から完成まで関わったなら、「企画、撮影、編集まで一貫して担当しました」と説明できます。「動画制作」を基本に書き始めて、正式な名称や担当範囲に合わせて整えると、漢字の違い以上に必要な情報が伝わります。