正しい敬語 / 第83回
相手の配偶者を何と呼ぶ?「ご主人」「奥様」「パートナー」の選び方
相手の配偶者は、会話では「ご主人」「奥様」と呼ばれることがあります。ただし、誰にでもこの二つを当てはめればよいわけではありません。名前や本人が使っている呼び方が分かるなら、それを尊重して呼べます。
関係が分からない人を、見た目だけで夫や妻と決める必要はありません。「ご一緒の方」「お連れの方」と尋ねれば、手続きに不要な家族関係まで想像せずに済みます。
名前が分かる相手には名前で呼べる
前回ご一緒だった美咲さんも、お変わりありませんか。
紹介された名前を使えば、その人自身への挨拶になります。「奥様とお呼びすべきか」と迷う場面でも、名前と敬称で自然に話せます。
改まった文書なら「美咲様」、普段から親しく話す間柄なら「美咲さん」と、関係に合う敬称を選びます。夫婦の片方を「様」、もう片方を理由なく呼び捨てにするなど、扱いに差を付けないようにします。
招待状を連名で送る場合も、双方の氏名が分かるなら、それぞれに敬称を付けて書けます。一人を主、もう一人を付添いと決めるような書き方を避けたい場面です。
「ご主人」「奥様」は使ってはいけない?
これらは相手の夫や妻を指す呼び方として使われています。使っただけで直ちに失礼と断定することはできません。一方、家庭内の役割を連想する語を好まない人もいるので、万人にとって最適な呼称とも言い切れません。
相手が「パートナー」と話しているなら、「パートナーの方もご参加になりますか」と、その呼び方を受けて尋ねられます。「夫」「妻」と紹介されたなら、その情報に沿って話して構いません。
「旦那様」は「ご主人」より必ず丁寧、「ご令室」なら誰にも安心、という順位はありません。改まった呼称ほど会話で距離が出る場合もあります。相手が示している呼び方や名前を使うと、関係をこちらで決め付けずに話せます。
手続きで必要なら確認の目的を示す
ご案内をお送りするため、ご同行される方のお名前も伺えますか。
同行者の名前が必要なだけなら、夫婦かどうかは聞かずに済みます。夫婦向けの申込みなどで関係の確認が必要なら、聞く理由を先に示します。
こちらは配偶者の方も対象となる申込みです。ご一緒にお申し込みになりますか。
「配偶者」は関係を客観的に示す語なので、制度や書類の説明に使えます。ただ、日常会話で「配偶者様はお元気ですか」とすると事務的に響くことがあります。手続きの区分と、人への呼びかけを同じ語に統一する必要はありません。
「パートナー」は幅のある言葉なので、制度上の対象を説明するときは、それだけで条件を表したことにせず、正式な案内に沿って伝えます。
連名の招待状を送るなら、本人たちの氏名が分かる場合は、それぞれの名前に「様」を付けて書けます。一方を誰かの配偶者という呼び名だけにする必要はありません。名前が分からないときは、送付前に「ご一緒にお招きしたい方のお名前を伺えますか」と確認する方法もあります。
呼び方を訂正されたら短く受け止める
「妻ではなく姉です」と教えられた場合、長く弁解すると、相手に説明を続けさせることになります。
失礼いたしました。お姉様ですね。お二人分の資料をご用意します。
短く訂正を受けて、必要な用件へ戻れます。まだ関係を尋ねていないなら、「お二人ともご参加でしょうか」で済むこともあります。
近況を尋ねるときも、「ご主人はお仕事ですか」「奥様がお料理をなさるのですか」と家庭の役割を前提にする必要はありません。「皆様、お元気でいらっしゃいますか」と広く挨拶するか、以前聞いた話に沿って「美咲さんの展示は、来月でしたね」と、その人の話題に戻れます。