正しい敬語 / 第82回
「ご本人様」は敬語の重ねすぎ?受付で確認したいことの尋ね方
受付での「ご本人様ですか」は、相手が申込みや予約をした本人か確認するときに使われる表現です。「ご」と「様」があるという理由だけで、二重敬語の誤りと決め付ける必要はありません。
ただし、「ご本人ですか」でも丁寧に尋ねられます。大事なのは敬称の数より、誰を本人として確認しているのか、何の手続きに必要なのかが相手に伝わることです。
「何の本人か」を添えて尋ねる
本日の見学をお申し込みになったご本人でいらっしゃいますか。
予約をした人を確かめるなら、このように対象を示します。「ご本人様ですか」だけでは、利用者、支払った人、連絡先として登録した人のうち、誰を確認しているのか分からない場合があります。
予約名が分かっているなら、「山田花子様でいらっしゃいますか」と尋ねられます。ただし、待合室などで大きな声で氏名を繰り返す必要はありません。画面や申込書を一緒に見ながら、「こちらに記載されたお名前でお間違いないでしょうか」と確認する方法もあります。
本人確認の言葉は、敬称を増やすより、確認したい人を特定する方が明確になります。
「本人」と言っても相手を下げない
「ご本人」は、「本人」に敬意を添えた言い方です。「ご本人様」は接客で用いられますが、必ず様まで付けなければならないわけではありません。
お手続きは、ご本人の確認が済んでからご案内します。
お申し込みのご本人に、こちらの欄をご記入いただけますか。
どちらも「様」なしで丁寧な案内として成立します。「本人確認書類」のような手続き名や書類名まで「ご本人様確認書類」に変える必要もありません。正式な名称は、そのまま示す方が探しやすくなります。
また、自分が答えるときは「はい、本人です」で十分です。「私がご本人です」と自分に敬意を付ける必要はありません。氏名を合わせて「はい、申込みをした山田です」と答えると、どの人か明確になります。
代理の人には関係を決め付けずに聞く
窓口へ来た人が申込者本人とは限りません。家族、同僚、別の担当者が手続きをすることもあります。
本日は、山田様の代理でお越しでしょうか。
「ご主人ですか」「お母様ですか」と見た目から関係を推測するより、手続き上必要な立場を尋ねられます。関係を確認する必要がある場合は、「確認のため、山田様とのご関係を伺ってもよろしいでしょうか」と理由を示します。
本人でないと分かったときも、「本人じゃないんですね」と切り離すより、「代理でのお手続きですね。必要な書類を確認します」と受け止められます。代理でできるかどうかは、言葉遣いではなく、その窓口の定める手順に従って案内します。
同伴者ではなく本人に話してもらいたいとき
同伴者がずっと説明している場合、本人の希望を確かめたいことがあります。そのときも「ご本人様が答えてください」と急に遮るより、理由を伝えた方が分かりやすくなります。
ご希望を確認したいので、こちらの質問は山田様に直接伺ってもよろしいでしょうか。
本人が答えにくい事情があるなら、必要な補助を受けながら確認します。自分の発言ではないと決め付けたり、同伴者を無視したりする必要はありません。
本人への質問、同伴者への説明、書類の確認を一度に求めると混乱します。「まず、お名前を確認します」「次に、当日のご希望を伺います」と順に伝えるだけでも、受付の会話は分かりやすくなります。