正しい敬語 / 第112回
「お名前様」は丁寧?予約名・宛名・漢字を聞き返す正しい言い方
予約名を尋ねるときの「お名前様」は、通常は「お名前」で十分です。「様」は、人の名前や人を指す言葉に付ける敬称なので、「お名前」という項目名にまで重ねる必要はありません。
「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」「ご予約のお名前をお聞かせいただけますか」と言えば、丁寧に確認できます。聞き取りや漢字の確認も、何を知りたいかを具体的に尋ねられます。
予約の名前と来た人の名前を区別する
ご予約のお名前を伺ってもよろしいでしょうか。
店や施設の受付では、来た人自身の名前より、予約時に登録した名前が必要なことがあります。同伴者が先に着いた場合でも、これなら予約を探しやすくなります。
「お名前様を頂戴できますか」と長く言う必要はありません。「頂戴する」は名前を教えてもらう接客表現として使われますが、「伺う」「お聞かせいただく」なら、名前そのものを受け取るような言い方を避けられます。
名乗ってもらった後は、「山田様ですね。ご予約を確認します」と、氏名に様を付けます。「お名前」に様を付けることと、名前で相手を敬って呼ぶことを分けると整理できます。
聞き取れなかったら曖昧なまま進めない
恐れ入ります。お名前をもう一度、ゆっくり伺えますか。
「高田様」でよろしいでしょうか。最後の音が聞き取れず、失礼いたしました。
全て聞こえなかった場合と、一部を確認する場合の例です。聞こえた名前を推測で登録するより、その場で確かめる方が訂正の手間を減らせます。
「はっきり言ってください」と相手の話し方を責めるように聞こえる文にせず、「聞き取れず」と自分側の状態を伝えられます。通信の状況が悪いなら、「音声が途切れているため」と理由を具体的に示します。
名前は、聞こえたつもりで進めず、必要な部分だけ確認します。 何度も言い直してもらう場合は、文字で示せる別の方法があるかも案内できます。
漢字は相手が説明しやすい形で聞く
お名前の漢字を確認したいのですが、どのような字をお使いでしょうか。
読みだけでは登録できない場合に使えます。相手が「木に春の椿です」と説明したら、「椿の花の『椿』ですね」と短く確認できます。ただし、異体字や画数の違いがある場合は、相手の説明を勝手に一般的な字へ置き換えないようにします。
電話で伝えにくい字なら、「差し支えなければ、申込画面のお名前欄をご確認いただけますか」と、本人が確認できる方法を提案できます。必要以上に個人情報を別の媒体へ送ってもらうことは避け、通常の受付方法に沿って案内します。
名前の由来や珍しさに触れる必要はありません。「難しいお名前ですね」と言うより、「確認できました。ありがとうございます」と受け止められます。
宛名と呼び方を確認したい場合
書類の宛名では、受付で呼ぶ名字とは別に、正式な氏名が必要なことがあります。
証明書に記載するお名前は、こちらの表記でよろしいでしょうか。
何のために確認するかを示した例です。普段の呼び名が分かっていても、書類に同じ表記を使えるかは別に確かめます。
会議や催しでの呼び方を知りたい場合は、「当日は、どのお名前でご紹介すればよろしいでしょうか」と尋ねられます。活動名を使う人もいるため、本名で呼ぶことだけが丁寧とは限りません。
「お名前様」を避けることだけが目的ではなく、登録名、宛名、呼び名のどれを確認しているのかが分かる質問にできます。