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LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第113回

「お見知りおきください」は偉そう?自己紹介に添える言葉の選び方

「お見知りおきください」は、自分の顔や名前を覚えておいてほしいと伝える、改まった自己紹介の言葉です。相手に覚えるよう命じる失礼な表現、と一律に考える必要はありません。

ただ、普段の短い自己紹介で使うと、少し芝居がかった調子に感じられることもあります。初対面の場では、名前と役割を示して「よろしくお願いいたします」と結ぶだけでも自然です。

自己紹介の結びとして使う

本日から受付を担当します、佐藤と申します。どうぞお見知りおきください。

これから関わる人たちに、名前と担当を覚えてほしい場面の例です。「お見知りおき」の対象を明示しているので、何を覚えるのか分かります。

ただし、一度きりの簡単な手続きで客に「お見知りおきください」と言うと、用件に比べて自分を強く印象付けようとする調子になることがあります。「担当の佐藤です。よろしくお願いいたします」で足りる場面も多くあります。

「見知りおく」は、見て覚えておくことを表します。資料の内容を確認してほしい依頼には、「この変更をお見知りおきください」より、「変更点をご確認ください」と内容に合う動詞を使えます。

名前だけより関わり方も伝える

来月の展示で、会場設営を担当する山田です。搬入に関するご相談は、私までお願いいたします。

この自己紹介は、覚えてほしいと直接頼まなくても、名前を知っておく理由が伝わります。初対面の相手が後で連絡するときにも、何の窓口か判断できます。

同じ部署に同姓の人がいる場合は、フルネームや担当を添えると区別できます。「山田です。広報の山田とは別で、私は設営を担当します」と具体的に言えます。

「お見知りおきください」を添える前に、名前と今後の関わり方を伝えると、自己紹介が用件につながります。覚えてもらうためだけに長い経歴や私生活の説明を並べる必要はありません。

人を紹介するときにも使える?

自分以外の人を紹介して、「どうぞお見知りおきください」と言うこともできます。ただ、その人を覚えておくようこちらが求める形なので、場面に合うかを確かめます。

新しく担当する佐藤をご紹介します。次回からは佐藤が窓口を務めますので、どうぞよろしくお願いいたします。

取引先への担当交代なら、このように役割を説明する方が実用的です。「お見知りおきください」だけでは、旧担当との連絡を続けてよいか、新担当へ切り替えるのかまでは分かりません。

本人が同席しているなら、紹介者が長く話し続けず、本人が名乗る機会を作れます。「それでは、佐藤からご挨拶いたします」とつなげば、名前の読みや担当を直接伝えられます。

言われたときはどう返す?

「お見知りおきください」と言われたら、「こちらこそ、よろしくお願いいたします」と返せます。覚えたと宣言するために「承知しました。記憶します」と答える必要はありません。

よろしくお願いいたします。会場案内を担当する田中です。

自分も名乗れば、互いの名前と役割が分かります。後日、名前を思い出せなかった場合も、適当な名前で呼ぶより、「失礼ですが、もう一度お名前を伺えますか」と確認できます。

一度挨拶した事実を押し付けて「お見知りおきいただいたはずですが」と迫ると、相手が覚えていなかったことを責める文になります。再会時は「先日の展示会でご挨拶した佐藤です」と接点を示す方が、会話に入りやすくなります。

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