本文へ移動
LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第115回

「お許しください」は謝罪に使える?許しを求める言葉と謝る言葉

「お許しください」は、相手に許してほしいと求める言葉です。謝罪の文に使うことはできますが、何を誤ったかを伝える「申し訳ありません」とは役割が違います。

自分の不手際で相手が困っているとき、最初から許しだけを求めると、対応より先に話を終わらせたいように聞こえることがあります。まず事実とおわび、必要な対応を伝え、その後の判断は相手に委ねられます。

おわびと許しのお願いを分ける

ご案内した日付に誤りがあり、申し訳ありません。正しくは10月18日です。訂正した案内を、この後お送りします。

日付の誤りを謝る例です。何が起きたか、どう直すかを明示しています。この文だけでも謝罪は成立し、必ず「お許しください」を加えなければならないわけではありません。

「どうかお許しください」と書くなら、相手が許す前提にしないことが大切です。謝ったのだから許されるはず、という考えが文に出ると、丁寧な語でも負担になります。

謝罪は自分の言葉で行えますが、許すかどうかは相手の判断です。「お許しいただけたものと存じます」と、返事がないことを許しと決め付けないようにします。

「失礼をお許しください」は前置きにも使う

急なお願いとなる失礼をお許しください。明日の開始時刻について、ご相談したいことがあります。

予定外の依頼を切り出す文です。ただし、許しを請う前置きを付ければ、どんな内容を頼んでもよいわけではありません。なぜ急な変更が必要か、相手が断れるかを、依頼の本文で伝えます。

日常の短い確認なら、「急なご連絡で失礼いたします」とする方が、文面の重さに合うこともあります。「お許しください」は、改まったおわびや事情のある頼み事に使いやすい表現です。

初めて連絡する相手にも、名前を聞いただけで謝罪を重ねる必要はありません。「確認のため、お名前を伺えますか」と、質問の目的を説明できます。

手紙を短く済ませる場合の言い方

「略儀ながら、書中にて御礼申し上げます」のように、正式には会って伝えたいところを手紙で済ませるとき、形式を省くことへの言葉を添える場合があります。

まずはメールでのご連絡となりますことを、お許しください。詳細は、明日あらためてご説明します。

実際に改めた説明が必要な場合の例です。通常メールでやり取りする相手に、毎回「メールで失礼」「略儀をお許し」と書く必要はありません。媒体がメールであること自体が無礼なのではなく、その場で期待されている伝え方との違いを述べています。

「後日ご挨拶に伺います」と書くなら、本当に訪問する予定があるか確認します。形式を整えるためだけの約束を足さないようにします。

許しを求められた側は無理に即答しなくてよい

「どうかお許しください」と言われても、まだ影響が分からなければ「大丈夫です」と答える必要はありません。

おわびのご連絡は受け取りました。まず、訂正後の内容を確認させてください。

ご事情は分かりました。日程の変更が可能か、確認してお返事します。

謝罪を受け取ることと、変更に同意することを分けた返事です。問題が解決しているなら、「承知しました。ご対応ありがとうございました」と閉じられます。

相手に負担をかけた側は、許しの言葉を引き出すことだけを目的にせず、何を直せるかを具体的に示せます。「お許しください」を重ねるより、約束した対応を伝える一文が必要な場面もあります。

自分の文章を校正する登録なしで200文字まで無料で使えます。
すべてのコラムを見る