正しい敬語 / 第81回
「先生様」は丁寧?先生・教授・医師に宛てる敬称の選び方
学校の先生や医師に宛てる「先生様」は、通常は「先生」だけで十分です。「先生」自体が人を敬って呼ぶ言葉なので、さらに「様」を付けて丁寧さを増す必要はありません。
宛名では「山田花子先生」または「山田花子様」と書けます。どちらを選ぶかは、教わる相手として連絡するのか、一人の担当者として用件を伝えるのかでも変わります。
教えてもらう先生への宛名
青葉大学 文学部 山田花子先生
授業や研究指導に関するメールなら、この宛名で自然です。学校名や所属は相手を特定する情報、先生は敬称です。「青葉大学御中 山田花子先生」とすると、組織向けと個人向けの敬称を重ねることになります。個人への手紙なら「御中」は付けません。
本文の冒頭でも「山田先生、先日はご指導ありがとうございました」と呼びかけられます。宛名に先生を使ったから、本文では様に替える必要があるわけではありません。
逆に、相手の氏名だけで既に人物が明確な本文では、毎文「山田先生」を入れなくても伝わります。「いただいたご意見をもとに、構成を見直しました」と続ければ、誰への話か分かります。
教授という役職はどこに書く?
「教授」は大学での職位です。所属や職位を正確に示したい文書では、「青葉大学文学部 教授 山田花子先生」のように、肩書として前に置けます。
普段のメールなら「山田先生」で十分なことが多く、「教授先生様」と全てを積み重ねる必要はありません。「山田教授」という呼び方もありますが、所属先での呼び方や、本人が名乗っている肩書に合わせると行き違いを避けられます。
昇任前の古い名刺を見て書く場合には、肩書の確認も必要です。不確かな役職を推測して付けるより、「青葉大学 山田花子先生」と名前を正しく記す方が確実です。敬称を増やすより、氏名と現在の所属を正確に書くことを優先します。
医師や講師にも必ず「先生」を使う?
診療について医師に連絡するなら、「佐藤先生」と呼べます。一方、講演の契約や会場手配で窓口同士として連絡しているなら、「佐藤様」も選べます。「先生」を使わないと失礼、と一律に決まっているわけではありません。
佐藤先生 次回の講演資料について、確認したい点がございます。
佐藤様 ご依頼いただいた会場図をお送りします。
同じ人でも、やり取りの関係によって自然な呼び方が変わります。相手や所属先が指定する表記があるなら、それに合わせます。既に一貫して「先生」と呼んでいる相手を、用件のたびに細かく呼び替える必要まではありません。
第三者に紹介する場合には、「講師の佐藤先生をご紹介します」と言えます。自分側の職員を社外へ紹介するなど、組織の関係が関わる場面では、普段の呼び方をそのまま持ち出さないようにします。
返信の宛名が分からないとき
差出人が「山田」とだけ署名していても、こちらまで呼び捨てにする必要はありません。教わっている先生なら「山田先生」、取引の相手なら「山田様」と、自分と相手の関係に合わせて書けます。
講演の申込窓口から団体名で返事が届いた場合は、その団体の担当者へ宛てるのか、講師本人へ宛てるのかも確認します。「先生」と書けば誰にでも届くわけではありません。担当者へ手配を頼むメールなら、署名された氏名に「様」を付け、講師への質問であることは本文で伝えられます。
役職と敬称を両方入れようとして迷うときも、通常の個人宛てメールは氏名と一つの敬称で整います。「先生様」より「山田先生」と書き、用件へ進んで大丈夫です。