正しい敬語 / 第88回
担当者の名前が分からないときの宛名は?「御中」と「ご担当者様」の選び方
担当者の名前が分からないメールは、「○○部 ご担当者様」と書けます。部署や会社全体へ送るなら「○○部 御中」です。「御中」と「様」を重ねれば、さらに丁寧になるわけではありません。
誰か一人の担当者に読んでほしいのか、組織全体に宛てた文書なのかで選ぶと、宛名を決めやすくなります。名前が判明した後は、その人の氏名に「様」を付けて送れます。
担当する人へ送るなら「ご担当者様」
青葉株式会社 催事担当 ご担当者様
公開されている問い合わせ窓口に、催しの担当者宛てで連絡する例です。部署名が不明なら、「青葉株式会社 ご担当者様」でも送れます。
本文では、宛名だけに用件を任せず、「展示会への出展について伺いたく、ご連絡しました」と説明します。受付の担当者が適切な部署へ回す際にも、何の担当者へ向けた連絡か分かる方が助かります。
宛名を「担当者各位」とすると、複数の担当者へ広く知らせる調子になります。一人の回答者を探している初回問い合わせとは目的が違うので、人数や配信先に合わせます。
部署全体には「御中」を使う
「御中」は、組織や団体を宛先にする敬称です。「青葉株式会社 営業部 御中」と書けば、営業部という組織に宛てています。
| 宛てる先 | 宛名の例 |
|---|---|
| 会社や部署 | 青葉株式会社 営業部 御中 |
| 名前の分からない担当者 | 青葉株式会社 営業部 ご担当者様 |
| 氏名が分かる担当者 | 青葉株式会社 営業部 山田花子様 |
「営業部御中 山田花子様」と、同じ宛名に両方を付けるのは避けます。部署名は所属を示す情報として書き、その後に個人名と敬称を置けば足ります。
「御中」は会社の格を上げるための語ではありません。会社名に必ず付けるものだと思わず、敬称は、最終的に誰へ宛てるかに合わせて一つ選びます。
返信で名前が分かったら宛名を更新する
最初の返事に「担当の山田です」とあれば、次のメールは「山田様」と書けます。以後も「ご担当者様」のままにすると、相手が名乗ったことを受け取っていないように感じられる場合があります。
山田様 ご案内ありがとうございます。お知らせいただいた日程について、一点確認させてください。
担当者名が署名に複数ある場合は、誰が返答しているかを確認します。窓口が共有名義で運用されているなら、その運用に合わせて「ご担当者様」を続けても構いません。個人名を推測して決める必要はありません。
異動の連絡を受けた場合も、前任者と後任者を混同しないようにします。「山田様、佐藤様」と連名にするなら、本文でどちらへ何を伝えているかを分けられます。
宛名が合っていても担当違いは起こる
窓口を間違えている可能性があるときは、本文に短く添えられます。
ご担当が異なる場合は、適切な窓口をご教示いただけますと幸いです。
これは誤送信を気にせず送り続けてよいという意味ではありません。公開されている案内や問い合わせ分類を確認した上で、判断しきれない場合に使う一文です。
担当者へ取り次いでもらった後は、「ご担当の山田様をご紹介いただき、ありがとうございます」と、窓口の人にもお礼を伝えられます。その先の質問は山田さんに向けて書き、紹介してくれた人が回答する前提のままにしないようにします。宛名と本文のお願い先をそろえると、連絡の受け渡しが明確になります。
名前が不明だからといって、宛名なしで長い事情だけを書き始めるより、会社や窓口を示した方が目的が伝わります。「ご担当者様」で敬意を添え、最初の数行で、どのサービスや手続きについての連絡かを明らかにできます。