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LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第78回

「お耳に入れておきます」は失礼?知らせたい話に合う敬語

「お耳に入れておきます」は、相手に情報を知らせるときに使える言い方です。「耳に入れる」に敬意を添えた形なので、目上に使うだけで失礼になるわけではありません。

ただ、「あなたには先に伝えておく」という含みが出ることがあります。通常の連絡なら「お知らせします」、正式な経過説明なら「ご報告します」と言う方が、用件を取り違えにくくなります。

大切な情報を前もって伝える場面

まだ日程は確定していませんが、会場の変更を検討しています。ご予定に関わるため、先にお耳に入れておきたく、ご連絡しました。

確定前でも相手の予定に関わるので伝える、という事情を説明した文です。単に「お耳に入れておきます」と言うより、今知らせる理由が分かります。

この表現には、内々の話という印象が伴うこともあります。しかし、言葉自体に秘密保持を約束させる力はありません。共有範囲に制限があるなら、「正式発表までは、担当のお二人の範囲でご確認をお願いいたします」など、必要な扱いを明示します。

誰に話してよいかを決められない情報なら、敬語を整える前に伝えてよい内容かを確かめる必要があります。うわさを広げることが「お耳に入れる」で丁寧な行動に変わるわけではありません。

「耳にした」は自分が聞いたこと

「お耳に入れる」は、ここでは自分から相手へ知らせることです。一方、「耳にしました」は、自分が聞いて知ったことを表します。

来月、展示をなさると耳にしました。日程が決まりましたら教えていただけますか。

この文は、どこかで聞いた情報について相手に確認しています。相手から直接連絡を受けたなら、「展示のご案内を拝見しました」と、その経緯に合う言い方を選べます。

「耳にした」と書くと、情報源をぼかすことにもなります。誰から聞いたかが重要な連絡では、「会場の担当者から、入口が変更になると伺いました」と示す方が確実です。知った経緯と、これから知らせる行為を区別します。

正式な報告なら内容を先に示す

事故や不具合、約束の変更を報告するのに、「一応お耳に入れておきます」とだけ前置きすると、重要性を軽く扱っているように読まれることがあります。

ご注文の品の発送が、予定より1日遅れる見込みです。原因と新しい到着予定を、本日15時までにご報告します。

これは必要な報告として伝える文です。「お耳に入れる」が文法上間違っているからではなく、知らせる責任と、相手が受ける影響が明確になるよう選んでいます。

反対に、相手が対応する必要のない参考情報なら、「ご参考までにお知らせします。今回、ご対応いただくことはありません」と書けます。「知っておいてほしい」のか「何かしてほしい」のかを、情報の後で確かめられる文にします。

情報を受け取った側は何と返す?

「お耳に入れておきます」と言われたら、特別な定型句で返す必要はありません。「お知らせいただき、ありがとうございます」で受け止められます。

お知らせいただき、ありがとうございます。現時点では日程未定という理解で承知しました。確定しましたら、あらためてご連絡いただけますか。

未確定の情報を、確定した予定として扱わない返事です。共有範囲も不明なら、「この件は、同じ担当チームにも共有してよろしいでしょうか」と尋ねられます。

「承知しました」だけで秘密の約束までしたつもりになる必要はありません。情報の確かさ、必要な対応、共有してよい範囲のうち、分からない点を具体的に聞き返せます。

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