正しい敬語 / 第77回
「お目にかかる」は誰が誰に会う言葉?面会の約束で迷う敬語
「お目にかかる」は、自分が相手に会うことを、その相手を立てて述べる言葉です。「先生にお目にかかります」「またお目にかかれる日を楽しみにしております」と使えます。
相手に来てもらうことを、そのまま「お目にかかってください」とは言いません。誰が誰に会うのかを確かめると、約束や紹介の場で使う敬語を選びやすくなります。
初対面の挨拶に使うなら名前も続ける
初めてお目にかかります。今回の展示を担当しております、吉田と申します。
改まった場で使える挨拶です。「初めまして」より格式のある調子になりますが、会った相手を立てるという働きは、難しい説明を添えなくても伝わります。
ただし、オンラインで何度も話している相手なら「初めてお目にかかります」だけでは、過去のやり取りを忘れたように聞こえることがあります。「直接お目にかかるのは初めてですね。いつもありがとうございます」と、何が初めてなのかを示せます。
面識があるか自信がない場合も、「初めて」と決め付けず、「吉田と申します。以前、説明会に参加いたしました」と自分の接点を先に伝える方法があります。
会う約束を申し込むときの例文
新しい展示の件でご相談したく、一度お目にかかれますでしょうか。来週の火曜か木曜で、ご都合のよい時間がありましたらお知らせください。
面会の目的と日程の候補を示した依頼です。「お目にかかりたいです」だけよりも、相手が何のために時間を取るのか判断しやすくなります。
「お会いできますか」でも丁寧に頼めます。普段からやり取りしている相手なら、「来週、30分ほどお話しできますか」と、実際にしたいことを伝える方が会話に合う場合もあります。
「お目にかかる」は、相手がこちらに来る場合にも、自分が出向く場合にも使えます。訪問の方向まで表すわけではないので、場所は別に確認します。「当日は貴社の受付へ伺います」と続ければ、会う場所も明確です。
相手の行動には別の言い方を選ぶ
「部長にお目にかかってください」と客に言うと、客にこちらの部長を立ててもらう形になります。自社の部長と面会してもらうなら、次のように案内できます。
部長の佐藤が、お話を伺います。こちらの会議室へご案内いたします。
佐藤との面談は、明日14時でよろしいでしょうか。
会ってほしい人物を紹介する場面なら、「担当の佐藤をご紹介してもよろしいでしょうか」と許可を尋ねる方法もあります。
「お目にかかる」は、会う相手を立てる言葉です。こちら側の人を立てるよう、客に求める表現にはしません。
社内で後輩に、共通の恩師と会う予定を尋ねるなど、第三者を立てる文脈もあり得ます。ただ、受付や商談では、自分側と相手側の関係が分かる一文にする方が使いやすくなります。
再会を願う結びと具体的な約束は分ける
またお目にかかれる機会を楽しみにしております。
これは再会への期待を表す結びです。具体的な日程を決めたことにはなりません。「次回お目にかかります」と言い切るなら、既に次の面会が決まっているかを確かめます。
予定がある場合は、「来月の説明会でお目にかかれるのを楽しみにしております」と書けます。来場がまだ未定の相手には、「来月の説明会にも、ご都合が合いましたらぜひお越しください」と招待する文にします。
単に丁寧な結びを添えるつもりでも、相手に参加の約束をしたと思わせないことが大切です。「会えたらうれしい」のか「この日に会う」のかを、続く言葉で示せます。