正しい敬語 / 第84回
「ご子息」「ご息女」は会話でも使う?相手のお子さんの呼び方
「ご子息」は相手の息子、「ご息女」は相手の娘を改まって指す言葉です。お祝い状や案内文では使えますが、日常の会話なら「息子さん」「娘さん」「お子さん」の方が話の調子に合うこともあります。
名前が分かる本人に向かって、わざわざ「ご子息様」と呼びかける必要はありません。その人の名前に「さん」「様」を付ければ、親との関係だけでなく本人への敬意を示せます。
お祝い状では誰への言葉かを明確に
ご子息のご卒業、誠におめでとうございます。新しい門出を心よりお祝い申し上げます。
これは親に向けて、息子の卒業を祝う文です。「ご息女のご結婚、おめでとうございます」も同じ関係で使えます。
一方、卒業した本人に送るなら、「ご卒業おめでとうございます」と直接祝います。本人への手紙なのに「ご子息のご卒業」と書くと、別の家族の話になってしまいます。
「ご令息」「ご令嬢」も、他人の息子や娘を敬って呼ぶ言葉です。こうした改まった表現を全てそろえる必要はありません。相手との日常的な呼び方に合わせて、「健太さんのご卒業、おめでとうございます」と書くこともできます。
会話では「お子さん」でも丁寧
お子さんもご一緒に参加されますか。
参加人数を尋ねるだけなら、この言い方で十分です。息子か娘かが確認事項でなければ、「ご子息でしょうか、ご息女でしょうか」と分けて質問する必要はありません。
「お子様」は接客や案内文で使いやすく、「お子さん」は会話に合います。どちらも相手の子供を丁寧に指せます。「お子様」と呼ぶために、必ず幼い子供でなければならないわけではありませんが、成人していることが分かるなら、名前を使う方が自然な場面もあります。
前回お会いした健太さんも、今回は参加されるのですね。
こう言えば、成人を幼い子扱いせず、その人との接点も伝えられます。改まった呼称を選ぶことと、本人の年齢や関係に合う呼び方をすることは別です。
本人への呼びかけは名前を基本に
受付で親子が来た場合、親に「お子様のお名前を教えていただけますか」と尋ねることはあります。名前が分かった後は、「健太さん、こちらにお掛けください」と本人に話せます。
本人が答えられる場面で、全てを親に聞く必要はありません。「健太さんは、どちらの体験に参加されますか」と尋ねれば、希望を本人から確認できます。
名前が不明なまま声を掛けたいときは、「ご一緒の方も、こちらへどうぞ」と案内できます。「ご子息様、こちらです」と呼ぶことだけが丁寧さではありません。必要であれば、最初に名前の読み方を確かめられます。
自分の子を説明するときはどう言う?
社外の人や先生に自分の家族を紹介するなら、「息子の健太です」「娘が参加を希望しております」と言えます。「うちのご子息」「私のご息女」と、自分側の人に相手向けの敬称を付ける必要はありません。
自分の子をへりくだって「愚息」と呼ぶ表現もありますが、いつもそう言わなければ礼儀に欠けるわけではありません。現在の会話なら「息子」で関係は伝わります。本人のいる場で、性格や能力まで悪く言って謙遜する必要もありません。
学校への連絡では、「息子の健太は、本日欠席します。担任の先生にお伝えいただけますか」と用件を明確にできます。家族をどう呼ぶかに迷ったら、誰に宛てた文なのかを確かめ、相手側の家族と自分側の家族を区別します。