正しい敬語 / 第51回
「会社のご健勝」はおかしい?「ご多幸」「ご発展」との使い分け
「貴社のご健勝をお祈り申し上げます」。丁寧な挨拶に見えますが、「健勝」は人が健康で元気なことです。会社そのものの健康を祈る文になってしまいます。
会社を思う挨拶なのか、そこで働く人を思う挨拶なのか。結びを書くときは、その対象をそろえます。
「ご健勝」「ご多幸」「ご発展」は誰に向ける言葉か
| 表現 | 主に願うこと | 相手の例 |
|---|---|---|
| ご健勝 | 健康で元気であること | 先生、皆様 |
| ご多幸 | 多くの幸せ | ご家族、皆様 |
| ご発展 | 活動や事業が盛んになること | 会社、団体 |
「先生のご健勝をお祈り申し上げます」「皆様のご多幸をお祈りいたします」なら、人への言葉として自然です。会社には「貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます」と書けます。
「ご健勝」と「ご多幸」は似た挨拶でも、願っている中身が違います。健康を気遣いたいのか、これからの幸せを広く願いたいのかで選べます。
人と会社を並べるなら、それぞれの対象を書く
会社宛ての手紙でも、社員の人々と会社の両方に触れることはできます。
「皆様のご健勝と、貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。」
この形なら、健康を願う対象は皆様、発展を願う対象は会社です。敬語を並べる前に、それぞれ何を修飾しているかを確かめると、意味のずれを防げます。
「貴社のご健勝とご発展」のように一つの対象へまとめると、前半の組み合わせが合いません。長く感じるなら、人か会社か、今回伝えたい方に絞ってもよいでしょう。
退職や転居の挨拶で個人に送るなら、「新天地でのご活躍をお祈りしています」も自然です。いくつもの定型句を詰め込むより、その人のこれからに合う一つを選ぶと、気持ちが伝わる結びになります。
参考:用語の解説
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