正しい敬語 / 第35回
「ご覧になられましたか」は正しい?資料を読んだか確認する敬語
「先日の資料はご覧になられましたか」と書きたくなったら、「ご覧になりましたか」とすれば十分です。「ご覧になる」の時点で相手を立てる表現になっているため、さらに「られる」を重ねる必要はありません。
「ご覧になる」に「られる」を足さない
「見る」の尊敬語には「ご覧になる」があります。その過去の形は「ご覧になった」で、丁寧に尋ねるなら「ご覧になりましたか」です。
文化庁の「敬語おもしろ相談室」第四話は、一つの語に同じ種類の敬語を重ねる二重敬語を、一般には適切でない形として説明しています。ただし、習慣として定着した例外もあるため、敬語が二つ見えたら何でも間違いというわけではありません。
この場合は、「ご覧になられましたか」を「ご覧になりましたか」にすれば、相手への敬意は保てます。
資料を「見たか」と「確認したか」は同じではない
資料を開いたか知りたいなら、「昨日お送りした資料はご覧になりましたか」で尋ねられます。ただ、資料を読んで誤りがないか調べてほしい場合は、単に見たかどうかだけでは用件が足りません。
| 確かめたいこと | 言い方の例 |
|---|---|
| 資料を見たか | 昨日の資料はご覧になりましたか |
| 内容を確認できたか | 見積書の金額と数量をご確認いただけましたか |
| 案を承認してもらえるか | この案で進めてもよろしいでしょうか |
「拝見されましたか」とするのも避けます。「拝見する」は自分側が見ることを表す言葉なので、相手が自分の資料を見る場面には「ご覧になる」が合います。
急かしたくないときは確認の理由を添える
「ご覧になりましたか」という問い自体が失礼なわけではありません。しかし、送った直後に何度も尋ねれば、丁寧な形でも催促に感じられます。
たとえば、確定前の確認が必要なら「金曜に発注予定のため、見積書の金額と数量を木曜正午までにご確認いただけますか」と、対象と期限を知らせます。すでに期限を伝えているなら、「先日お願いした確認について、進捗を伺えますか」と尋ねることもできます。
「まだご覧になられていらっしゃいませんでしょうか」と敬語を重ねるより、なぜ今確認するのかを説明したほうが、相手も事情を把握できます。資料の何ページを見てほしいかまで分かっているなら、それも添えると返事をしやすくなります。