正しい敬語 / 第36回
「ご利用できます」と「ご利用いただけます」はどちらが正しい?施設案内の敬語
「この部屋はどなたでもご利用できます」と案内したいときは、「ご利用いただけます」か「ご利用になれます」とするのが適切です。敬語を重ねず「どなたでも利用できます」と書いても、丁寧な案内になります。
利用するお客様を立てる形を選ぶ
「ご利用できます」は、「ご利用する」を「できる」にしたように読めます。しかし「お・ご〜する」は、自分側から相手に向けた行為を述べる形です。施設を利用するお客様の行為に、そのまま使うのは適切ではありません。
文化庁の「敬語おもしろ相談室」第五話も、「ご乗車できません」を例に、相手の行為に使う敬語の可能形を説明しています。
施設の掲示なら、次のように選べます。
| 表現 | 案内の例 |
|---|---|
| ご利用いただけます | 休憩室は予約なしでご利用いただけます |
| ご利用になれます | 更衣室は開館時間中ご利用になれます |
| 利用できます | 無料Wi-Fiを利用できます |
「ご利用できます」を避けたいからといって、案内を長くする必要はありません。 誰が利用できるか、いつ使えるかを添えた短い文で伝えられます。
「ご利用いただけます」は押し付けになる?
「いただく」が入ると、お客様に利用してもらうことを押し付けているように感じる人もいるかもしれません。しかし、利用可能なことを知らせる「ご利用いただけます」は、通常の案内として使えます。より直接、相手が利用できることを述べたいなら「ご利用になれます」を選べます。
二つの表現の差より、条件の書き漏らしが問題になることもあります。「どなたでもご利用いただけます」と掲示しながら実際は会員限定なら、敬語が正しくても案内は不正確です。「会員の方は、受付後にご利用いただけます」のように条件を明記します。
「ご説明できます」まで誤りにしない
自分が相手に説明する場合の「ご説明できます」は、同じ誤りにはなりません。「この場で変更点をご説明できます」なら、自分側の説明について述べています。
また、「ご利用はできます」のように「は」が入る形は、「ご利用する」の可能形とは違います。文化庁の解説でも「ご乗車はできません」は許容される形です。ただ、「は」を入れると、「利用はできるが、ほかのことはできない」などの対比を感じさせる場合があります。
単に開放時間を知らせるなら、「休憩室は午後6時まで利用できます」で用件は足ります。休止中の案内なら、再開予定や代わりの場所も添えると、利用者が困らずに済みます。