正しい敬語 / 第37回
「ご説明いただく」と「ご説明くださる」の違いと使い分け
「ご説明いただき、ありがとうございます」も「ご説明くださり、ありがとうございます」も、お礼に使える言い方です。どちらか一方だけが丁寧、という関係ではありません。違いが表れるのは、誰の立場から説明を述べるかです。
「先生にいただく」と「先生がくださる」
次の二文は、同じ説明会の出来事を表せます。
先生に、新しい制度をご説明いただきました。
先生が、新しい制度をご説明くださいました。
最初の文は、説明を受けたこちら側から述べています。二つ目は、説明した先生を主語にしています。「いただく」なら「先生に」、「くださる」なら「先生が」とすると、誰が説明したかが明確です。
文化庁の「敬語おもしろ相談室」第四話の助詞の解説も、この違いを示しています。
「先生がご説明いただきました」と書くと、先生が誰かから説明を受けたように読めます。自分たちが説明を受けたという内容なら、「先生にご説明いただきました」とします。先生の行為から書きたいなら、「先生がご説明くださいました」です。
お礼のメールではどちらも使える
本人に直接お礼を言うときは、「先生に」「先生が」を省いて、「本日はご説明いただき、ありがとうございました」と書けます。「本日はご説明くださり、ありがとうございました」でも構いません。
少し具体的にするなら、「手続きの流れをご説明いただき、ありがとうございました。次回の申請から教えていただいた方法で進めます」と続けられます。どちらの敬語を選ぶか以上に、何が助かったかを書くことで感謝の内容が伝わります。
依頼したかどうかだけでは分かれない
「頼んだ場合はいただく、相手が自発的にした場合はくださる」と覚えると、使える場面を狭くしてしまいます。こちらから依頼した講師にも、「詳しくご説明くださり、ありがとうございました」と言えます。頼んでいない助力に対して「ご説明いただき、助かりました」と述べることもできます。
これから説明を頼むなら、「仕組みをご説明いただけますか」「仕組みをご説明くださいますか」のどちらも選べます。依頼する範囲や必要な時間を添えると、相手も応じられるか判断しやすくなります。語尾を交換するときは、文中に残した「が」「に」も一緒に見直します。