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LINTO日本語の校正と推敲

読めそうで読めない漢字 / 第71回

「諫める」は何と読む?止める相手との関係が表れる言葉

「諫める」は「いさめる」と読みます。主に目上の人に対し、その過ちやよくない点を改めるよう忠告することです。「無理な計画を進めようとする責任者を諫めた」という文なら、相手の地位に遠慮して黙るのではなく、思いとどまるよう意見を述べています。

目上の人へも言える「諫める」

「諫める」は、相手の過ちを指摘し、改めるように忠告することです。主に目上の相手について使われます。 歴史の文章に出てくる「主君を諫める」は、その典型です。家臣が主君の行動をただ叱りつけるのではなく、よくない結果にならないよう意見を述べる場面です。

現代でも「先輩の無理な提案を諫めた」「周囲の人が、強引に話を進める代表を諫めた」のように使えます。身分制度のある時代だけの言葉ではありません。

ただし、相手を制止したというだけで、何でも諫めるになるわけではありません。「出発時刻を知らせて、長話を終わらせた」は単なる時間の案内とも読めます。相手の判断や行いによくない点があると考え、それを改めるよう忠告することが中心です。

「諫言」と「いさめる」の関係

「諫」は、言葉によって過ちを改めるよう勧めることに関係する字です。「諫言」は「かんげん」と読み、目上の人に対して忠告すること、またその言葉を表します。「諫言を受け入れる」なら、自分のよくない点を指摘する意見に耳を傾けることです。

「いさめる」は「諌める」という字体で見掛けることもあります。字の細かな形に迷うなら、平仮名で「いさめる」と書いても意味は伝わります。「勇ましい」の「勇む」と音が近くても、相手を勇気づけて突き進ませることではありません。

「勇気を出して諫めた」という文は成立しますが、勇気という意味が諫の字に入っているわけではありません。発言する人の気持ちと、発言の目的を分けて読むと理解しやすくなります。

「戒める」「諭す」「たしなめる」と比べる

「戒める」は「いましめる」。よくないことをしないよう注意したり、自分で慎んだりすることです。「自分の慢心を戒める」のように、自分に向けても使えます。「諫める」は、ほかの相手に改めるよう言う場面に向きます。

「諭す」は「さとす」で、道理を分かるように説明して言い聞かせることです。「勝つためでも約束を破ってはいけないと諭す」なら、理由を理解してもらうことが中心です。「たしなめる」は、よくない言動を穏やかに注意する場面に使われやすく、上の立場からの注意を感じさせる場合があります。

これらの語は使える場面が重なります。「諫めるは必ず部下だけ、たしなめるは必ず上司だけ」と固定する必要はありません。ただ、相手との関係を描く効果が異なるので、言い換えの際には立場まで変えていないか確かめられます。

忠告の中身を添えると場面が伝わる

「友人は、準備を省いて強行しようとする先輩を諫めた」と書けば、何を問題としたかが分かります。「まず現地を確認しよう、と諫めた」と実際の言葉を続けると、単に反対したのではなく、判断を改めるよう働きかけた様子になります。

「周囲に諫められ、代表は一度発表を見送った」なら、忠告を受けて行動を変えています。一方、「いくら諫めても耳を貸さなかった」では、忠告が受け入れられない状態です。「諫める」は、相手が必ず納得したり、考えを変えたりしたことまで含みません。

自分が相手へ直接話すとき、「あなたを諫めます」と宣言する必要はありません。「このままだと案内が間に合いません。日程を見直せないでしょうか」と、心配する理由と提案を伝えられます。諫めるという言葉は、そのような忠告の行為を第三者に説明する場面で、相手との関係も含めて簡潔に示せます。

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