間違えやすい日本語 / 第79回
「期待に答える」はどこが違う?「応える」との使い分け
「皆さんの期待に答えたい」。気持ちは伝わりますが、期待に沿うように力を尽くす意味なら「応えたい」が合います。
質問に返事をする「答える」と、働きかけに応じる「応える」。音が同じなので、書くときに初めて違いが気になる言葉です。
質問には「答える」、期待には「応える」
「答える」は、問いかけに対して返事や解答を出すことです。「出発時刻を尋ねられ、9時と答えた」「最後の設問に答える」のように使います。
「応える」は、相手の求めや働きかけに沿った反応をすること。期待、要望、声援などに使います。
| 文 | 伝えていること |
|---|---|
| 質問に答える | 聞かれたことへの回答を示す |
| 要望に応える | 求められたことに対応する |
| 声援に応える | 応援を受けて反応や成果を示す |
「期待に応える」は、期待についての質問に回答するわけではありません。返答を出す「答える」と、求めに沿う「応える」の違いです。
「声にこたえる」は前後で意味が変わる
「入口から名前を呼ぶ声がして、『ここです』と答えた」なら返事です。一方、「もっと公演を見たいという声に応え、追加公演を開いた」なら要望への対応です。
「声」という同じ名詞があっても、機械的に漢字を決めることはできません。何を受けて、どんな反応をしたのかまで読む必要があります。
また、「応える」は必ず行動、「答える」は必ず言葉、と分けるのも窮屈です。「温かい言葉で気持ちに応える」のように、言葉で応じることもあります。大事なのは反応の手段より、文が表している関係です。
送信前に「期待に答える」を見つけたら、「期待に沿う」と言い換えられるかを確かめてみてください。その意味なら、「応」の一字がよく合います。
参考:用語の解説
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