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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第141回

「寝耳に水」は寝ているときの話?突然の知らせへの驚き方

「会場が変更になるとは寝耳に水でした」。寝ていた間に知らせを受けたという意味ではありません。「寝耳に水」は、予想していなかった出来事や知らせに、不意を突かれて驚くことです。 すでに知っていたことへの単なる不満とは分けて使います。

思いもしなかった知らせに驚く

「友人が来月から遠くへ移ると聞き、寝耳に水だった」。それまで引っ越しの話を知らず、急な知らせに驚いたという文です。実際に友人が急いで決めたかどうかは、別の話です。

「長く使っていた会場が閉鎖されるという話は、寝耳に水だった」も同様です。知らせを聞いた自分にとって予想外だったことを表し、閉鎖の決定過程まで突然だったと断定しているわけではありません。

悪い知らせの場面でよく使われますが、語の中心は不意の驚きです。受賞や思いがけない招待など、よい知らせにも文脈によって使えます。ただ、喜びを中心に伝えるなら「思いがけないうれしい知らせでした」と直接書く方が分かりやすいこともあります。

「藪から棒」は言い出し方や行動が唐突

「何の話もしていなかったのに、藪から棒に『明日来られる?』と聞かれた」。この「藪から棒」は、前置きもなく、だしぬけに行動する様子を表しています。

「寝耳に水」は知らせを受けた側の驚き、「藪から棒」は話し始め方や行動の唐突さに焦点があります。同じ場面で両方が当てはまることもありますが、言っていることは同じではありません。

たとえば、以前から予告されていた日程変更を突然話題にしたなら、言い方は藪から棒でも、内容は寝耳に水とは限りません。反対に、丁寧な前置きをして伝えられた内容が全く予想外なら、寝耳に水と言えます。

「聞いていない」と言うだけで事実が確定する?

「寝耳に水です」と関係者へ返すと、事前に知らせを受けていないという驚きや不満が伝わります。ただ、実際に連絡がなかったのか、連絡が届いたものの自分が確認していなかったのかは、まだ区別が必要です。

「変更については初めて伺いました。いつ決まった内容か教えてください」と返せば、自分が今知ったことと、確認したいことを分けられます。「そんな連絡は一切ありませんでした」と断定する前に、経緯を確かめられます。

報告でも、「全員にとって寝耳に水だった」と書くなら、全員が知らなかったことを確認したかを考えたいところです。「少なくとも、この時点まで自分は変更を知りませんでした」と範囲を限定できます。

「耳を疑う」は内容の信じがたさを強調する

「耳を疑う」は、聞いた内容が意外で、聞き間違いではないかと思うことです。「寝耳に水」は、不意に知らされた驚きが中心です。

「予告なく担当変更を知らされて寝耳に水だった」なら、事前に知らなかった点が重要です。「担当が全員一度に変わると聞いて耳を疑った」なら、変更の規模や内容の信じがたさを強調しています。

二語を並べて使うこともできますが、同じ驚きを繰り返すだけなら、どちらかに絞って理由を補う方が具体的になります。「昨日まで変更の話がなかったため、驚きました」と直接書く方法もあります。

驚いた後に必要な確認へつなげる

変更に驚くことと、その変更へ賛成するかどうかは別です。「寝耳に水でしたが、新しい日時で参加できます」と答えることも、「日程を確認してから返事をします」と保留することもできます。

相手へ伝える文では、驚きだけで止めず、必要な情報や対応を続けると用件が明確になります。「開始時刻は変わりますか」「以前の申込内容はそのまま有効ですか」と具体的に尋ねられます。

不意の知らせを受けた自分の気持ちを表す言葉として使い、相手の決定や連絡の仕方まで一度に断定しない。それが「寝耳に水」を正確に伝える使い方です。

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