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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第126回

「耳を疑う」は聞き取れないこと?驚いた話を伝える表現

「耳を疑うような知らせだった」。これは、音が小さくて聞き取れなかったという話ではありません。「耳を疑う」は、聞いた内容があまりに意外で、聞き間違いではないかと思うことです。 喜ばしい知らせにも、信じたくない知らせにも使えます。

驚いてすぐには信じられないときの言葉

「応募した作品が大賞に選ばれたと聞き、耳を疑った」。予想していなかったよい結果への驚きを表しています。「長く通った店が閉店すると聞いて、耳を疑った」なら、思いも寄らなかった残念な知らせへの驚きです。

このように、よいこと専用でも悪いこと専用でもありません。話の内容が自分の予想から大きく外れ、すぐには受け止められないところが共通しています。

「耳を疑ったが、もう一度確認すると確かに受賞していた」と続けることもできます。最初に驚いたことと、その後で事実を確認したことが分かれています。聞いた内容が最終的に誤りだったという意味ではありません。

単に聞き取れない場合はどう言う?

声が遠かったり周囲が騒がしかったりして、話を聞き取れない場合には、「聞き取れなかった」「もう一度聞き返した」と書く方が正確です。音の問題だけなら、意外な内容への驚きはありません。

「名前を聞いたが、音が途切れたので耳を疑った」とすると、名前そのものが信じられないほど意外だったようにも読めます。通信の問題なら「名前の部分が途切れたため、聞き返しました」と説明できます。

会話で相手に確認するなら、「今、十時とおっしゃいましたか」「金曜日という理解で合っていますか」と、聞き取った内容を示せます。「耳を疑いました」と伝えるより、確認したい点がはっきりします。

相手の発言に使うと非難が混ざることがある

「その発言には耳を疑いました」と本人へ言うと、単に意外だっただけでなく、そんなことを言うとは信じられないという批判に聞こえる場合があります。

たとえば、事前の約束と違う説明をされた場面で使えば、不信や抗議が伝わります。強い反応が必要なときには合いますが、日程を聞き間違えたか確かめたいだけなら強すぎます。

説明を求めるなら、「前回は無料と伺いましたが、今回は費用が必要ということでしょうか」と、食い違いを示す方法があります。相手がどの部分を説明すればよいか分かり、こちらが驚いた理由も伝わります。

「目を疑う」との使い分け

「目を疑う」は、見た内容が信じられないほど意外な場合です。「表示された金額を見て目を疑った」「空だった棚に探していた本が並び、目を疑った」のように使えます。

「新聞を読んで耳を疑った」と書くと、読んだのか聞いたのかが少し混ざります。比喩として意味は推し量れても、出来事に合わせるなら「記事を読んで驚いた」「紙面の数字に目を疑った」と表せます。

音声で読まれたニュースなら「知らせを聞いて耳を疑った」で自然です。どの感覚で知ったかが主題でなければ、単に「驚いた」とすることで無理な比喩を避けられます。

驚きの理由を添えると大げさに見えにくい

何にでも「耳を疑うほど」と書くと、文章の強さが一定になり、肝心の出来事が伝わりにくくなります。「人数が一人増えると聞いて耳を疑った」だけなら、なぜそれほど驚くのか読者には分かりません。

「締切後は追加できないと聞いていたのに、一人増えると知らされて耳を疑った」とすれば、驚きの前提が見えます。事実より大きく演出するのでなく、予想と何が違ったかを示す方法です。

「耳を疑う」は、聞いたことへの驚きを表す強い言葉です。音が聞こえない場合、事実を確認したい場合、発言へ抗議したい場合を分けると、目的に合う表現を選べます。

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