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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第125回

「耳が痛い」は聞きたくない話なら何でも使える?

友人から「また準備を後回しにしたの?」と言われ、思い当たる節がある。そんなときの「耳が痛い」は、比喩として自然です。「耳が痛い」は、人の言葉が自分の弱点や欠点を突いていて、聞くのがつらいという意味です。 聞きたくない話なら何にでも使えるわけではありません。

自分にも当てはまるから聞きづらい

「締切を守る大切さについての話は、耳が痛かった」。自分にも締切を守れなかった経験があるなど、その指摘が身に当たるためつらく感じる文です。

「物を増やす前に、まず片づけようと言われて耳が痛い」も、片づけていない自覚があると読めます。相手の言い方が厳しいだけでなく、内容を完全には否定できないところがあります。

「耳の痛い指摘」「耳が痛い話」と名詞を修飾する形でも使えます。「耳の痛い指摘だが、そのとおりなので直したい」と続ければ、受け止めたうえで行動する気持ちが伝わります。

根拠のない悪口は「耳が痛い」とは違う

自分に関係のないことで責められたなら、「耳が痛い」と返すと、内容を認めたように聞こえる場合があります。「その点は事実と異なります」と説明したい場面では、別の返し方が必要です。

「何もしていないのに悪口を言われ、耳が痛かった」という文も、比喩としては、悪口に思い当たる節があったように読まれやすくなります。ただ不快だったなら、「聞いていてつらかった」「不快に感じた」と書く方が意図に合います。

相手の話に胸が痛んだ場合とも違います。友人の苦労話を聞き、自分の欠点と関係なく悲しくなったなら、「胸が痛んだ」「つらい話だった」が使えます。「耳」と「胸」を感情の強さだけで入れ替えないようにします。

助言への返事で使うと何が伝わる?

「耳が痛いです」と返すと、指摘が自分に当たっていることを、少し率直に認める言い方になります。親しい人との会話なら、思い当たると伝える短い返事として使えます。

ただ、正式な注意を受けた場面で、それだけを返すと、感想で終わってしまうことがあります。「ご指摘のとおり、確認が不足していました。次回から提出前に照合します」と、認めた内容と対応を伝える方法があります。

一部には思い当たるが、すべてには同意できない場合もあります。「確認が遅れた点はそのとおりです。ただ、変更の連絡を受けたのは昨日です」と分けて返せます。「耳が痛い」と言ったら全体を認めなければならないわけではありませんが、認める範囲を明示すると行き違いを減らせます。

人に向けて「耳が痛いでしょう」と言う強さ

「この話はあなたにとって耳が痛いでしょう」と言うと、相手にも欠点の自覚があるはずだと決めつける文になります。自分について使う場合と違い、相手の内心まで推測しています。

問題を指摘したいなら、「今回も提出が予定より遅れています。理由を確認したいです」と事実を伝えられます。相手がつらく感じるかを言い当てなくても、必要な話し合いはできます。

記事の見出しで「耳が痛い話」と書くときも、読者全員に欠点があると扱わない方がよいでしょう。「先延ばししがちな人が見直したいこと」のように、誰に関わる話かを具体的に示す方法があります。

耳そのものが痛むという文字どおりの使い方もあるため、「大きな音で耳が痛い」なら身体の感覚です。比喩として読む場合は、その話が自分のどこに当たったのかを確かめます。単なる不快感ではなく、身に覚えのある弱点を突かれたときに、この表現がよく合います。

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