正しい敬語 / 第104回
「お悔やみ申し上げます」はメールでも使える?悲しみに添える短い言葉
「お悔やみ申し上げます」は、身近な人を亡くした相手に哀悼の気持ちを伝える言葉です。口頭だけでなく、メールや手紙にも使えます。普段メールで連絡している相手から訃報を受けたなら、まず短く返すこともできます。
長い文で慰めようとするより、悲しみに触れる言葉を短く述べ、返信や詳しい説明を求めない形にできます。宗教や故人との関係が分からないときは、推測して表現を選ばないようにします。
訃報の連絡へ短く返す
お父様のご逝去を知り、心よりお悔やみ申し上げます。ご連絡くださり、ありがとうございました。どうぞ、ご返信はお気遣いなさらないでください。
相手から父親が亡くなったと知らされた場合の例です。続柄を知らないなら、確認できている氏名を使い、「山田様のご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます」と書けます。
お悔やみは遺族など残された人に向けた言葉です。誰に送るメールかを確かめ、故人と受取人の関係を取り違えないようにします。「ご尊父様」などの改まった呼称が使い慣れなければ、「お父様」で伝えられます。
普段の挨拶として「いつもお世話になっております」を必ず入れる必要はありません。訃報への返事では、お悔やみから書き始めても不自然ではありません。
口頭では言葉を尽くそうとしすぎない
このたびは、心よりお悔やみ申し上げます。
会って伝える場合は、この一言でも気持ちを表せます。言葉が続かないときに、無理に長い話を足す必要はありません。
「早く元気になってください」「いつまでも悲しまないで」と言うと、悲しむ時間をこちらが決めるように届く場合があります。「何かお手伝いできることがありましたら、お知らせください」と言うなら、本当に引き受けられる範囲を考えて伝えます。
事情を知りたい気持ちがあっても、死因や最期の様子をこちらから詳しく尋ねないようにします。相手が話し始めたときは、説明を急かさずに聞けます。お悔やみの場では、話してもらうことより、相手に負担をかけずに気持ちを伝えることを優先します。
「ご冥福」はどの宗教にも共通ではない
「ご冥福をお祈りします」は、故人の死後の幸福を祈る表現です。ただし、宗教や宗派によって考え方が異なり、浄土真宗などでは一般的なお悔やみの定型として用いないことがあります。神道やキリスト教の葬儀でも、仏教に由来する表現を一律に当てはめないようにします。
宗教が分からないなら、「ご逝去を悼み、心よりお悔やみ申し上げます」と、悲しみを伝える表現を選べます。「天国で見守ってくれています」と、相手の信仰や考え方を決め付ける必要もありません。
正式な弔電や式典の文面では、家族や主催者の案内があれば、その意向に合わせます。普段の短いメールで、宗教について新たに質問して返事の負担を増やす必要はありません。
用件がある場合も返事を急がせない
仕事などの予定変更が必要なら、お悔やみとは分けて、こちらで対応できることを示します。
明日の打合せは延期として、参加者にはこちらから連絡します。新しい日程は、落ち着かれましたらご相談ください。
これは実際に調整できる立場から送る例です。相手の承諾が必要な変更を、善意だけで勝手に決めないようにします。
弔問や供花を辞退する案内があるなら、その意向を尊重します。「お気持ちだけでも」と押し返すより、短いお悔やみを伝え、相手の示した連絡の取り方に合わせられます。