正しい敬語 / 第103回
「お大事に」は上司に言っていい?体調を気遣う敬語と返し方
「お大事に」は、体調を崩した相手に、体を大切にしてほしい気持ちを伝える挨拶です。上司にも使えます。改まった連絡なら「どうぞお大事になさってください」と文を整えられます。
大切なのは、病状を詳しく聞き出したり、早く戻るよう急かしたりしないことです。気遣う一言に、相手が返事をしなくてもよい余地を残せます。
休む連絡を受けたときの返事
承知しました。どうぞお大事になさってください。本日の受付は、こちらで対応します。
相手が休めるように、引き受けられる範囲を伝えた例です。「お大事に」の後で細かい確認を何件も続けると、休むための連絡が長いやり取りになってしまいます。
ただ、代わりの対応を決める権限がないなら「全て任せてください」と言い切らず、「受付については、担当者と調整します」と、実際にできることを伝えます。
親しい同僚なら「無理せず、お大事に」と短く返しても構いません。長文で気遣うことが、いつも相手のためになるわけではありません。
療養中のメールは短く気持ちを伝える
ご療養中と伺いました。どうぞお大事になさってください。こちらへの返信はお気遣いなく。
相手から直接病状を聞いたのではない場合は、聞いた範囲を超えて決め付けません。「さぞおつらいでしょう」と感じ方を断定するより、体を大切にしてほしい気持ちを伝えられます。
「すぐによくなりますよ」「きっと大丈夫です」と根拠なく回復を保証する必要もありません。「穏やかにお過ごしになれますよう願っています」と、相手の今の時間を気遣う言葉も選べます。
「お大事に」は気遣いの挨拶です。回復の期限や返事を求める言葉を、無意識に付け足さないようにします。
必要な連絡事項があるなら、気遣いの文と混ぜず、「ご確認が必要な点は一つです」と分け、代理の人への確認で済まないかも考えられます。
「ご自愛ください」とは使う場面が違う
「ご自愛ください」は、健康を大切にしてほしいという手紙の結びに使われます。「お大事に」は、相手が体調を崩していると分かる場面で、より直接的に寄り添う言葉です。
| 場面 | 一言の例 |
|---|---|
| 体調不良で休む連絡への返事 | どうぞお大事になさってください |
| 季節の変わり目の手紙 | 気温の変化が大きい時期ですので、どうぞご自愛ください |
| 療養中の人への短い便り | ご無理のないよう、お過ごしください |
言葉を厳密に排他的な規則で分ける必要はありませんが、既に具合が悪い人には、その状態に合う表現を選べます。「ご自愛ください」がいつでも相手を傷つける、と断言することでもありません。
相手の家族が体調を崩した場合は、「ご家族の方も、どうぞお大事になさってくださいとお伝えください」と言えます。直接会っていない人の事情まで詳しく尋ねる必要はありません。
言われた側は詳しい病状を返さなくてもよい
お気遣いありがとうございます。今日は休ませていただきます。
ありがとうございます。日程を変更していただき、助かりました。
相手の気遣いにお礼を述べれば返事になります。体調や治療内容を詳しく説明しなければ礼を欠く、ということではありません。
予定変更について確認が必要なら、「次回の日程は、体調が落ち着いてからご相談できますか」と具体的に頼めます。まだ分からない復帰日を、安心させるために約束する必要はありません。気遣いへの感謝と、連絡できる見込みを分けて伝えられます。