本文へ移動
LINTO日本語の校正と推敲

正しい敬語 / 第102回

「お気をつけて」は目上にも使える?見送るときの自然な一言

「お気をつけて」は、上司や来客を見送るときにも使える気遣いの言葉です。目上に注意を命じる失礼な表現、と一律に考える必要はありません。

改まって言うなら「どうぞお気をつけてお帰りください」「お気をつけていってらっしゃいませ」とできます。見送りなのか、具体的な危険を知らせたいのかで、続く言葉を選びます。

帰る人へは帰路を気遣う一言に

本日はお越しいただき、ありがとうございました。どうぞお気をつけてお帰りください。

訪ねてきた人へのお礼に続ける挨拶です。「気をつけるべき人だ」と相手を評価しているのではなく、無事に帰れるよう願っています。

近しい上司が帰る場面なら、「お疲れ様でした。お気をつけて」で自然に話せます。短いから敬意がないということではありません。一方、式典の来賓を見送るような場では、「お帰りください」まで添えると文として整います。

まだ打合せが終わっていない相手に突然言うと、帰るよう促した印象になる場合があります。言葉の正誤だけでなく、別れの挨拶をする時点かどうかも確かめます。

出張や旅行に出る人を見送る

明日からご出張ですね。どうぞお気をつけて、いってらっしゃいませ。

出発する相手に使える文です。相手の旅程や目的地を知らないなら、行き先について話を作らず、この程度で十分に気持ちが伝わります。

「道中お気をつけて」も使えますが、日常の短い移動なら、少し改まった響きになります。「いってらっしゃい」との組合せは、送り出す関係に合う場合に選べます。メールで取引先の出張を知った場合は、「ご出張中も、どうぞお気をつけてお過ごしください」と書く方法もあります。

「お気をつけて」は、相手の無事を願う挨拶として使えます。 旅の予定を聞くたびに仕事の成果まで願う言葉を重ねる必要はありません。

危険を知らせるなら具体的な場所を添える

雨で入口の床が滑りやすくなっています。足元にお気をつけください。

具体的な注意を伝える例です。「お気をつけて」とだけ言うより、何に注意すればよいか分かります。段差なら、「出口の手前に段差がございます」と場所も説明できます。

直ちに危険がある場合は、回りくどい敬語にこだわるより「お下がりください」「車が来ます」と短く知らせる必要があります。「お気をつけいただけますと幸いです」と遠回しにして、避けるべき動作を分かりにくくしないようにします。

通れない場所があるなら、「入口左側は使えませんので、右手の通路をお進みください」と案内できます。単に注意してもらうのか、別の経路を使ってもらうのかを分けると、相手は取るべき行動を判断しやすくなります。

言われた側は「ありがとうございます」で返せる

「お気をつけて」と見送られたら、「ありがとうございます。失礼いたします」と返せます。自分も相手も外へ帰る場なら、「ありがとうございます。山田さんもお気をつけて」と返すこともできます。

ありがとうございます。行ってまいります。

お気遣いありがとうございます。到着しましたら、ご連絡します。

後者は、到着連絡をする約束がある場合の例です。挨拶に応じるためだけに、頼まれていない連絡を必ず約束する必要はありません。

「そちらも気をつけてください」と毎回返すより、相手がその場に残るのか、出掛けるのかに合わせます。店の人から見送られたなら、「ありがとうございました」と利用のお礼を伝えるだけでも自然な返事になります。

自分の文章を校正する登録なしで200文字まで無料で使えます。
すべてのコラムを見る