正しい敬語 / 第32回
「おられますか」は正しい敬語?電話で担当者を呼び出す言い方
「山田様はおられますか」を、一律に誤用とは言い切れません。「おる」を日常的に使う地域もあり、敬語としての受け止め方に幅があるためです。ただ、初めて電話する会社など、相手の言葉の慣習が分からない場面では、「山田様はいらっしゃいますか」が選びやすい表現です。
電話では「在席の確認」と「取り次ぎ」を言い分ける
担当者がいるかを尋ねるなら、次の形で十分です。
お世話になっております。青葉企画の佐藤と申します。営業部の山田様はいらっしゃいますか。
用件や担当者が明確で、電話をつないでほしいなら、「営業部の山田様にお取り次ぎいただけますか」と頼めます。
名前が分からないときは、「商品の修理について伺いたく、ご担当の方にお取り次ぎいただけますか」と用件を添えると、受けた人が探しやすくなります。「担当者はいますか」を長い敬語に変えるだけでは、どの担当者かという問題は解決しません。
改まった電話で迷ったら、在席は「いらっしゃいますか」、取り次ぎは「お取り次ぎいただけますか」と尋ねられます。
「おられますか」が気になると言われる理由
「おる」は、改まった言い方では自分側について「担当の者は席を外しております」のように使います。その「おる」に尊敬を表す「れる」を重ねたものと考えると、相手の在席を尋ねる「おられますか」に違和感を持つ人がいます。
一方、地域によって「おる」は、特別に自分を低くする意識なしに使われます。小学館の「ことばのまど」の解説も、一般的な敬語の原則からの説明に加え、地域や文章表現による違いを扱っています。
そのため、誰かが「おられますか」と言っただけで、敬語を知らないと決め付けるのは適切ではありません。自分が不特定の相手に掛ける電話では、受け止め方の分かれにくい表現を選べばよいでしょう。
自社の担当者の不在を答える場合
反対に、取引先から担当者を呼んでほしいと言われた側なら、「山田はただいま席を外しております」と答えられます。自社側の人の不在を述べるので、「山田様はいらっしゃいません」と相手側の人のように立てる必要はありません。
戻る時刻が分からなければ、推測で約束せず、「戻り次第、折り返すよう申し伝えましょうか」と用件を引き継げます。敬語が整っていても、連絡方法が決まらなければ電話は終わりません。取り次げない場合の案内まで添えると、相手も次の行動を選べます。