間違えやすい日本語 / 第13回
「おざなりな対応」と「なおざりな対応」はどう違う?
問い合わせに返事はしたものの、内容を確かめず定型文だけを送った。こうした対応には「おざなり」が合います。一方、問い合わせを後回しにして、十分に対応しなかったことを問題にするなら「なおざり」です。
「おざなり」はその場を取り繕うような不十分さ、「なおざり」は大切に扱わず注意を払わないことに重点があります。 どちらも「いいかげん」ですが、何がいいかげんなのかが違います。
「おざなりな対応」は形だけ済ませること
質問には答えず、「検討します」と繰り返すだけのおざなりな対応だった。
この文は、対応がまったくなかったとは言っていません。返事をするという形は整っていても、質問を受け止めた内容になっていない、という批判です。「おざなりな謝罪」「おざなりな説明」も同じように、何かはしたが誠意や中身が乏しい場合に使えます。
辞書編集者・神永曉氏の解説も、「おざなり」を、その場のがれで真剣に取り組まないこととして説明しています。単に仕事が遅いというだけでは、この言葉はまだ選べません。
「なおざりにする」は必要な配慮を怠ること
「なおざり」は「確認をなおざりにする」「安全対策をなおざりにする」のようによく使います。
納期を優先するあまり、納品前の確認をなおざりにしていた。
確認を一度もしていなかった場合だけでなく、必要な点検を十分にしていなかった場合にも使える文です。「おざなりは何かする、なおざりは何もしない」と覚えると、おおまかな違いはつかめますが、何もしていないことだけが「なおざり」の条件ではありません。
例えば、一応点検はしたものの、肝心の部分を後回しにしたのであれば、「重要な確認事項をなおざりにした」と書けます。行動の有無より、注意を払うべきことを軽く扱っていないかが判断の中心です。
改善を頼む文では事実まで書く
「おざなりな対応をやめてください」だけでは、相手には何を直せばよいか分からないかもしれません。「質問した三点のうち、一点しか回答がありません。残る二点もご確認ください」と書けば、求める対応が具体的になります。
同じように「確認をなおざりにしないでください」も、「送信前に、宛先と添付ファイル名をご確認ください」と言い換えられます。対応を評価するなら「おざなり」「なおざり」が使えますが、次の行動を頼むときは、欠けていたことをそのまま書く方法もあります。