読めそうで読めない漢字 / 第35回
「五月雨」は5月の雨?読み方と「五月雨式」のつながり
「五月雨」は「さみだれ」と読みます。字に五月とあるからといって、いまのカレンダーで5月に降った雨をすべてそう呼ぶわけではありません。「五月雨」は旧暦の五月ごろの長雨、梅雨の雨を指す言葉です。
「五月」の季節が今と違う
旧暦と現在の暦では、同じ月の数字でも季節がずれます。そのため、「五月雨」の五月を現在の5月にそのまま当てはめると、梅雨の長雨という意味を見失います。
辞書の「五月雨」には「さつきあめ」という読みも見られます。「五月雨式」のように一つの熟語になった場合は「さみだれしき」です。
五月雨に濡れた庭の木々が、窓いっぱいに見えた。
この文では、単に一度雨が降ったというより、梅雨どきの湿った情景を表せます。時候を細かく指定したい案内文では、「梅雨の長雨」と言い換える方が分かりやすい場合もあります。
「五月雨式」は途切れながら続くこと
「五月雨式に資料を送る」は、資料を一度にまとめず、間を置いて何度も送ることです。雨が続く様子になぞらえた表現で、5月限定の送付方法ではありません。
「五月雨式のご連絡で失礼いたします」と添えても、相手がどの資料を見ればよいかまでは解決しません。追加分なのか、前の資料の差し替えなのかを書き分ける必要があります。
先ほどの資料に図版を追加しました。こちらが最新版ですので、先のファイルは破棄してください。
このように、連絡が重なる事情よりも、相手に取ってほしい対応を具体的に書けます。五月雨式という語は状況の説明に役立ちますが、送付内容の整理まで代わってくれるわけではありません。雨の言葉から生まれた比喩を、実際の連絡にも意味を理解して使いたいところです。
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