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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第43回

「席に着く」と「席に就く」はどちらを使う?

会議や式典で座ることを伝えるなら、「席に着く」を選べます。「開会までに席に着いてください」のように書きます。文化庁の使い分け例にも、この表記が示されています。

一方、「就く」にはある場所に身を置く使い方もあり、「席に就く」をすべて誤字とするのは言いすぎです。案内文の表記を決める話と、その表記以外が日本語として成り立つかどうかは、分けて考えます。

会場の座席なら「席に着く」

文化庁の「異字同訓」の漢字の使い分け例では、「着く」はある場所を占めることなどを表し、「席に着く」が例に挙がっています。

開始5分前までに、指定の席に着いてください。
参加者が席に着いたのを確認して、説明を始めました。

このような文では、「着席」と結び付けて覚えると選びやすくなります。参加者向けの案内なら、「開始5分前までにご着席ください」と書く方法もあります。

ただし、「座る」と書けば何でも同じとは限りません。「交渉の席に着く」は、実際に椅子へ座る動作というより、交渉に参加する意味で使うことがあります。漢字だけを直すつもりで、表現全体の意味まで変えないようにします。

「席に就く」も辞書に載っている

小学館の『日中辞典 第3版』の「就く」にも、座席などに体を置く用例として「席に就く」が載っています。「就くは仕事や役職にしか使えない」とは言えません。

ただ、用字の基準をそろえる必要がある案内や広報文では、文化庁の例に合わせて「席に着く」に統一する方法があります。統一のために直すことと、元の表記を誤りと断定することは違います。

役職を引き受ける意味なら「就く」

「議長の席につく」という文は、何を述べているのかで考え方が変わります。議長用の椅子へ移動して座る場面なら「議長席に着く」。議長に就任したことを伝えるなら、「議長に就く」と書くと明確です。

役員の互選により、田中氏が議長に就きました。

就任の報告をしたいのに「席に着きました」とだけ書くと、単に着席したようにも読めます。座る動作は「席に着く」、役割を担うことは「議長に就く」と、具体的な言葉まで整えると区別が伝わります。

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