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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第58回

「全然大丈夫」は全然ダメ?学校で習った「否定と使う」のその先

「少し遅れても大丈夫ですか」「全然大丈夫です」。この返事を、肯定文だから誤りだと直す必要はありません。「全然」は、後ろが否定でなければ絶対に使えない語ではありません。

肯定と使う「全然」は昔からある

辞書編集者の解説では、残らずすべてという意味の「全然」が、以前から肯定・否定の両方に使われていたことが示されています。肯定との組み合わせを、すべて最近の誤りだとするのは実態に合いません。

「全然大丈夫」は、心配する点はまったくないという返答として理解できます。「大丈夫」が形として肯定だからといって、安心させる文の意味までおかしくなるわけではありません。

一方、「全然おいしい」のように程度を強めたり、予想よりよい評価を述べたりする用法は、歴史的な「すべて」の用法と同じ説明では済みません。肯定文だから全部一括で正しい、あるいは一括で間違い、とするより、何を表しているかを見ます。

「全然大丈夫」が曖昧になる場面

「日程変更は大丈夫ですか」に「全然大丈夫です」と返すなら、変更を受け入れる意味でしょう。しかし、内容の確認を頼まれたときに同じ返事だけをすると、何が大丈夫なのかは分からないことがあります。

日程の変更、承知しました。10月10日の14時に伺います。

日時まで書けば、読み手は確認できます。改まった相手には「問題ありません」「対応できます」など、その場の意味を直接表す言葉も使えます。

「全然」を使う人が日本語を知らない、と決め付ける必要はありません。同時に、どんな文書でも話し言葉のまま使えばよいわけでもありません。会話で安心を伝える返事と、変更を確定する記録では、必要な具体性が違います。

「全然違う」は、後ろが否定形ではない

「全然違う」「全然別の話だ」も、普段よく使う形です。「違う」は「ない」で終わりませんが、同じではないという意味を持っています。「否定の形がないから誤り」と一律に判断すると、こうした自然な文まで直すことになります。

昨日と今日では、会場の雰囲気が全然違う。 試してみたら、全然難しくなかった。 その条件なら、全然大丈夫です。

一つ目は違いの大きさ、二つ目は難しさの否定、三つ目は懸念を打ち消す気持ちを強めています。表面の形だけでなく、何を強く言っているかを見ると、使い方の共通点と違いが分かります。

「全然いい」と「とてもいい」も、いつでも同じではありません。「少し傷があるけれど、全然いいよ」なら、傷を気にしないという含みが出ます。「とてもいい品だ」なら、品物自体を高く評価しています。

安心させる返事には、条件を添えられる

「全然大丈夫」と返した後で認識の違いが分かる場合、問題は「全然」の正誤ではなく、了承した範囲の不足かもしれません。

30分ほど遅れても、会場には入れます。 今回の変更は問題ありません。次回以降は前日までに知らせてください。 その金額で構いません。送料が別かだけ確認させてください。

これらは、受け入れる内容と条件が分かる返事です。会話では「全然大丈夫です」に続けて、必要な条件を添えてもかまいません。

また、「飲み物はいかがですか」への「大丈夫です」は、要るのか要らないのか迷わせることがあります。「全然」を加えても、その曖昧さが必ず解消するわけではありません。「今は要りません」「もう一杯お願いします」と、してほしいことを直接述べると明確です。肯定・否定の規則と、返事の分かりやすさは分けて整えられます。

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