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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第57回

「上には上がいる」は間違い?「上には上がある」との違い

大会で、自分よりはるかに上手な選手に出会った。「上には上がいるなあ」と感じるのは自然な場面です。ただ、ことわざの定型として覚えるなら「上には上がある」です。

ことわざは人だけを対象にしていない

辞書の「上には上がある」は、最も優れていると思っても、さらに優れたものがあるという意味です。人の腕前だけでなく、品物の質や程度にも使えます。

この店の品ぞろえにも驚いたが、本店を訪ねて上には上があると感じた。

品ぞろえの規模を比べているので、「ある」が収まります。具体的な誰か一人の存在を述べているわけではありません。

「人にはいる、物にはある」と普段使い分ける感覚から、「上には上がいる」と言いたくなります。しかし、ことわざとしての「ある」は、特定の人物だけではなく、より上の存在や程度を広く表します。

「いる」を使ったら日本語として成り立たない?

「この分野には、彼より上の人がいる」はもちろん成立する文です。その意味で「上には上がいる」と人物の存在を述べることまで、文法上不可能だとする必要はありません。

ただ、ことわざの正しい形を問う場面、定型句として引用する場面では「上には上がある」を選びます。自分の言葉で特定の人について書くなら、「自分より技術の高い人がいる」と明示する方法もあります。

誰かが受賞した直後に「上には上があるよ」と言うと、うぬぼれを戒めるつもりでも、成果を小さく扱われたように聞こえかねません。自分への戒めとして使うのか、他人の評価に使うのかでも印象が変わります。「ある」と「いる」の一字だけでなく、何のためにそのことわざを持ち出すのかも、伝わり方に関わります。

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