本文へ移動
LINTO日本語の校正と推敲

読めそうで読めない漢字 / 第8回

「欠点を論う」は何と読む?「議論する」とは少し違う言葉

「相手の欠点ばかりを論う」。読みは「あげつらう」です。「論」の字を見ると、筋道立てて話し合う姿を想像するかもしれませんが、この文では相手を好意的に評していません。

「論う」と「議論する」の差

「論う」には、物事の是非を論じる意味があります。そこから、細かな点を取り上げて言い立てる意味でも使われます。現代の文で「欠点をあげつらう」と言えば、必要以上に欠点を取り立てて言う含みが出ます。

誤記を一つずつ直す必要はあるが、それを理由に書き手の能力まであげつらうのは違う。

誤りを確認すること自体を否定しているわけではありません。この文では、修正に必要な指摘を越えて、人への非難を重ねる態度を問題にしています。

「会議で改善点を議論した」と「会議で改善点をあげつらった」では、同じ点について話していても、話し合いの描写が変わります。後者は、欠点ばかり挙げていたと批判する書き手の見方を含みやすくなります。

中立に報告するなら何と言う?

議事録に「委員が問題点をあげつらった」と書くと、発言内容だけでなく、委員の態度への評価まで伝わります。評価するつもりがなければ「問題点を指摘した」「複数の課題を挙げた」と書けます。

「論」は「あげつらう」のほか、「論じる(ろんじる)」の形でも使います。漢字に込められた、物事について述べるという意味は共通していますが、現在の使われ方には差があります。「論じた」を難しい読みの「論った」に替えても、同じ文体になるとは限りません。

相手から「あげつらわないでほしい」と言われたときも、単に「話すな」という意味とは限りません。細部の不備ばかり取り上げられている、という受け止めを表している可能性があります。読みと一緒に、その含みまで知っておくと、会話の意図を取り違えにくくなります。

参考:Precious.jp

自分の文章を校正する登録なしで200文字まで無料で使えます。
すべてのコラムを見る