間違えやすい日本語 / 第64回
「ダントツの最下位」ってあり?「断然トップ」の略なのに使える?
「ダントツの最下位」と聞けば、大差を付けられて最下位なのだと分かるでしょう。ただ、「ダントツ」は「断然トップ」の略なので、元の意味に沿えば最下位とはかみ合いません。
大差と首位の二つを含む言葉
「断然」は際立った差があること。「トップ」は首位です。したがって、本来の「ダントツ」は、ただ差が大きいだけではなく、ほかを大きく引き離した首位を指します。
「ダントツの1位」は、首位の意味が重なります。順位を簡潔に書くなら「ダントツだった」「大差で1位になった」とできます。
2位に大差を付け、ダントツで優勝した。
この文は大差のある首位を表しています。優勝との意味の近さはありますが、どんな勝ち方だったかを示す形として読めます。
「最下位」に付くのはなぜ?
辞書編集者による解説では、語源が意識されなくなり、大差があるという部分が強く使われるようになったことが指摘されています。その捉え方なら「ダントツの最下位」の意図も理解できます。
ただし、意味が伝わることと、どんな説明文でも迷わず使えることは同じではありません。語源との矛盾が気になる読者もいます。順位を正確に報告したいなら「ほかを大きく下回り最下位だった」「最下位で、直上のチームとは10点差があった」と具体的に書けます。
会話で冗談めかして「ダントツでビリ」と言う場合まで、聞き取れない語だと否定する必要はありません。ただ、自分で成績表の説明や記事を書くなら、「大差で最下位」が意味に合います。
「ダントツ」が何の略かを知ると、単なる「とても」の代わりにはしにくいことが分かります。差の大きさを言いたいのか、首位であることまで言いたいのかで選べる言葉です。
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