正しい敬語 / 第57回
「ご無沙汰しております」と「お久しぶりです」は何が違う?
何年ぶりかに知人と会う。「お久しぶりです」と「ご無沙汰しております」は、どちらも使えます。ただ、後者には、こちらから連絡せずにいたことへの気持ちが含まれます。
丁寧さの段階だけで覚えるより、何について挨拶しているのかを考えると自然です。
「ご無沙汰」は、便りをしていなかったことに触れる
「無沙汰」は、長く訪問や連絡をしないこと。「ご無沙汰しております」は、その状態に触れ、失礼をわびる気持ちを表す挨拶です。
「ご無沙汰しております。以前、展示会でお世話になりました田中です。」
しばらく連絡していなかった相手へのメールなら、このように始められます。続いて、近況を短く述べるか、今回連絡した用件へ進むと読みやすくなります。
何週間以上空いたら使う、という厳密な日数はありません。毎週やり取りしていた相手と、年に一度会う相手では、「長く連絡していない」と感じる間隔が違うからです。
「お久しぶりです」は再会したことへの挨拶
「お久しぶりです。お会いできてうれしいです」と言えば、久々の再会を喜ぶ気持ちが前に出ます。
毎週メールをしていて、会うのは一年ぶりという相手なら、「お久しぶりです」がよく合うでしょう。連絡は続いているので、「ご無沙汰しております」より実際の関係を表しやすくなります。
会っていなかったことと、便りをしていなかったことは同じではありません。ここが二つの挨拶を選ぶ手掛かりです。
「お久しぶりです」が目上には必ず失礼、というわけでもありません。親しく話す恩師との再会なら自然な場合もあります。改まった手紙や、こちらから長く連絡しなかったおわびを伝えたいときは、「ご無沙汰しております」を選べます。
どちらを使っても、そのあとの一文は自分の言葉で書けます。「以前教えていただいた本を、ようやく読み終えました」のように共通の話題があると、挨拶から用件へ無理なくつながります。
参考:用語の解説