正しい敬語 / 第56回
「幸甚です」は大げさ?「幸いです」と使い分けたい依頼の言葉
「ご返信いただければ幸甚です」。丁寧そうではあるものの、普段の連絡では少し大げさに感じることもあります。
「幸甚」は「こうじん」と読み、この上なく幸せなことを表します。改まった文章で深い感謝や願いを示す言葉です。
「幸甚」と「幸い」は、依頼の重さに合わせる
正式な招待なら、「ご臨席を賜れましたら幸甚に存じます」と書けます。大切な席に来てもらえれば非常にありがたい、という気持ちです。
一方、いつもの相手に資料の確認を頼むなら、「ご確認いただけますと幸いです」がよく合います。「該当箇所をご確認いただけますでしょうか」と、直接依頼しても丁寧です。
| 場面 | 表現の例 |
|---|---|
| 改まった招待 | ご出席いただければ幸甚に存じます。 |
| 通常の確認依頼 | ご確認いただけますと幸いです。 |
| 親しい相手への希望 | 感想を聞かせてもらえるとうれしいです。 |
「幸甚」を使うほど、どんな依頼にもふさわしくなるわけではありません。相手との距離や文書の性格に合う言葉が、読みやすい丁寧さになります。
感謝に使うときも、何がありがたいかを添える
「温かいお言葉をいただき、幸甚に存じます」と、すでに受けた厚意にも使えます。「幸甚」は依頼専用の結びではありません。
ただ、「幸甚です」だけでは、どの点に喜んでいるかまでは伝わりません。「ご紹介のおかげで、探していた資料にたどり着けました。お力添えに心より感謝申し上げます」と、具体的にお礼を書く方法もあります。
また、「ご返信いただければ幸甚です」と書いても、期限は伝わりません。返事が必要なら、希望する日を別に示します。文末を格調高くすることと、相手が動ける情報をそろえることは、どちらも欠かせない別の作業です。
参考:用語の解説
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