間違えやすい日本語 / 第53回
「一つ返事で引き受けた」は間違い?返事はなぜ「二つ」なのか
頼み事をしたら、すぐに快く引き受けてくれた。この様子を表す慣用句は、「二つ返事で引き受ける」です。 「一つ返事」と言いたくなるのは、一度で即答する様子が思い浮かぶからかもしれません。
返事は一回なのに、なぜ「二つ」?
「二つ返事」は「はい、はい」と返事を重ねることから、ためらわずに承諾する意味になった表現です。実際に二回「はい」と言ったかを数える語ではありません。
一緒に展示を手伝ってほしいと頼むと、友人は二つ返事で引き受けてくれた。
この文から読み取れるのは、友人が快く応じたことです。「はい」と一回しか言っていなくても、「もちろん」と答えていても、承諾の仕方がそうであれば使えます。
日常の会話では「はいはい」という返事が投げやりに聞こえる場合もあります。しかし、慣用句の由来と、あらゆる会話での声の調子を同じにする必要はありません。「二つ返事」は快諾を述べる表現としてまとまっています。
「一つ返事」は最近の間違い?
辞書編集者による解説では、「一つ返事」にも古い使用例があることが紹介されています。最近の若者だけが使い始めた、といった決め付けはできません。
ただ、慣用句の標準形として自分の文章に選ぶなら「二つ返事」です。言葉の使用例が存在することと、慣用句として勧める形は区別できます。
「二つ返事で断った」と書くと、快く承諾するという中心の意味から外れます。即座に断ったと言いたいなら「即答で断った」「すぐに断った」が合います。返答までの速さだけを取り出すなら即答、前向きに承諾した態度まで伝えるなら二つ返事、と分けると使いやすくなります。
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