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LINTO日本語の校正と推敲

間違えやすい日本語 / 第52回

「すべからく」は「すべて」の意味?似て聞こえても、文の意味は別

「参加者はすべからく受付を済ませた」。全員が受付を済ませたというつもりなら、「すべからく」を「すべて」に替えると意味に合います。「すべからく」は、当然そうすべきだという判断を表す語です。

音が「すべて」に似ていますが、人数や物の全体をまとめる役割とは異なります。

「した」と「すべきだ」では文の内容が違う

利用者はすべからく注意事項を確認すべきだ。

これは、確認するべきだという規範を述べています。実際に全員が確認を終えた証拠にはなりません。

「利用者はすべて注意事項を確認した」なら、全員の行動についての報告です。似た音の語を入れ替えるだけで、望ましい行動の話と、済んだ事実の話が変わってしまいます。

「すべからく」は漢文訓読で使われ、後ろに「べし」「べきだ」などを伴う形が典型です。「すべし」という、するべきだという形との関係があります。少し難しい言葉で「全員」を言い直しているわけではありません。

「ことごとく」「おしなべて」との使い分け

全部を指すなら「すべて」、例外なく全部だと強めるなら「ことごとく」が候補です。「おしなべて」は、全体をならして見れば、概してという使い方もあります。

「提出された案はすべからく水準が高い」と褒めたいなら、「提出された案はどれも水準が高い」で自然です。「すべからく水準を満たすべきだ」では、満たしている事実ではなく、満たすべき条件を述べる文になります。

改まった文章でも、難しい語を使えば正確になるとは限りません。「すべからく」を使う前に、その文は義務や当然の行動を述べたいのか、対象の全部について述べたいのかを確認できます。後者なら、「すべて」と言う方が簡潔で、意図もずれません。

参考:用語の解説

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