読めそうで読めない漢字 / 第18回
「寧ろ」は何と読む?「丁寧」の「寧」からは想像しにくい言葉
「静かな部屋より寧ろ、少し物音がある方が落ち着く」。読み慣れない漢字を平仮名にすれば、「むしろ」です。「丁寧」の「寧」を使いますが、「ねいろ」とは読みません。
「寧ろ」は、二つを比べて、どちらかといえばこちらだと選ぶ気持ちを表します。
「丁寧」の「寧」になぜ「むしろ」の意味がある?
「寧」には、穏やか、安らかという意味のほか、どちらかといえばという意味もあります。一つの字が複数の意味を担っているので、「丁寧」の意味をそのまま「寧ろ」に当てはめる必要はありません。
「丁寧にする」という意味の動詞でもありません。「寧ろ説明した」と書けば説明の仕方が丁寧だという意味になる、ということではなく、何と比べて説明したのかを前後から読む文になります。
説明を減らすより、むしろ図を一枚足したい。
この文では、「減らす」と「図を足す」を比べて後者を選んでいます。「むしろ」があることで、前の案より別の案がよいという判断がはっきりします。
予想と逆の評価にも使える
「不便かと思ったが、むしろ使いやすかった」なら、予想した不便さと実際の使いやすさを比べています。いつでも「AよりB」の形を省略せずに書く必要はありません。比較する対象が文脈にあれば使えます。
ただ、「むしろ、よいと思います」だけを突然言うと、何と比べているのか分からないことがあります。「長すぎるという意見もありますが、説明を初めて読む人には、むしろこの長さが必要だと思います」のように、相手の見方との関係が分かると自然です。
漢字では意外な読みですが、日常の文章で無理に「寧ろ」と書く必要はありません。平仮名の「むしろ」も一般的です。表記の難しさより、前後にどんな比較があるかが、この語を読む手掛かりになります。
参考:用語の解説
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