読めそうで読めない漢字 / 第16回
「悉く失敗した」の「悉く」は何と読む?「ことごとく」の漢字を知る
「応募した企画が悉く落選した」。読みは「ことごとく」です。一件二件という話ではなく、応募した企画が残らず落選したことを表しています。
「悉く」は、その文で対象にしているもの全部、例外なくという意味です。 全部とは何を指すのかは、文の範囲で決まります。人生のすべてが失敗したという意味まで広げる必要はありません。
「ことごとく」は悪い結果だけに使う?
「ことごとく失敗」「ことごとく裏目に出る」という組み合わせから、悪いこと専用に思えるかもしれません。しかし、語そのものに失敗の意味はありません。
展示されていた作品がことごとく気に入り、売店で図録を買った。
このような肯定的な文にも使えます。「全部気に入った」よりも、一つずつ見たものが残らずそうだったという強調が感じられます。ただ、少しでも例外があるなら「ほとんど」「多くが」の方が事実に合います。
「悉」は、それ一字に尽くす、全部という意味を持つ漢字です。「悉皆(しっかい)調査」という、対象をすべて調べる調査名にも使われています。音読みで出会うと難しく見えますが、意味は「ことごとく」とつながっています。
「すべからく」とは意味が違う
字面も音も難しい副詞として、「すべからく」と混同しないようにしたいところです。「すべからく」は「当然すべきだ」という判断に関わる語で、単に全部という意味ではありません。
「届いた品物をすべからく確認した」と書いて全部の確認を伝えたいなら、「届いた品物をすべて確認した」で十分です。「ことごとく確認した」とも言えますが、事務的な報告では強調が過ぎる場合もあります。
「ことごとく」は「尽く」と書くこともあります。「悉」の字にも「尽くす」という意味があり、表記が変わっても残らず全部という意味は共通します。日常の文章では、平仮名の「ことごとく」も使えます。
参考:用語の解説